妖怪退治 佳境 5

 ?「ついに来た。この時が来た!!この足利義輝がそなたらと会いまみえる機会が。いやいや、楽しみにしていたぞ朋よ!」

その男は、足利義輝と自分のことを呼んだ。山本には、その名前に聞き覚えがあった。

足利義輝。かの室町幕府第13代将軍で、剣豪将軍と呼ばれた人物。かの剣豪塚原卜伝から奥義【一之太刀】を伝授されたとされた人物。しかし、その武勇伝は彼の死後大分後に書かれたものが多く、多くは創作であるとされている。だが彼の前に立っている男は、本当にその創作で書かれたような者が、そのまま具現化したような存在としてそこに間違い無くいるのだ。

 山本「足利義輝だと?敵め、どうやら、カルデアに召喚していないサーヴァントをほかにも召喚しているみたいだな。」

 ビリー「ああ、ワイアットが召喚されているということはそうみていいだろうね。…ん?山本さんどうした?何か気になることでもあるような顔をしてるけど?」

 山本「おかしい。おかしいんだ。あの侍、本当にあの義輝なのか?」

それもその筈、山本は、目の前にいる彼を見て気になることがあった。それは、彼の年齢である。史実では、数え年で30で亡くなっているはずの彼なのだが、どう見てもそれ以上の年齢にしか見えないのだ【少なくとも40代ほど】。その疑問に答える声が、突如、辺りに響き割る。

 ?「どうやら、気付いたようだね。そう、卿の世界では彼は早くなくなっているようだが、マスターが【この私】の場合は別なのだよ。」

この声は、久々に聴く声だ。低く、どこか余裕やあざ笑うかのように聞こえることばを発するのは、あの男しか考えられない。あの松永久秀だ。山本は、彼に対しても違和感を持っていたが、これですべて解決した。そう、彼らは平行世界の戦国時代を生きた、この歴史とは違う過去を経験した者なのだ。