逃亡劇、そして復活 32

とはいえ、辺りは一気に混沌と化してきており、しかも、魔物たちも人員を割いている。

 フレイザード【とはいえだ、流石にこの状況下で敵と交えるのは俺ぐらいか…】

と、考えていたが、運が良いことに、ある魔物がフレイザードに加勢にやってきた。

 

 ?「ふむ、これはいささか混沌と化して来たようだが?この【ヘルクラウダー】もこの状況はさして驚くばかりよ。さて、この辺に若きフレイザードがいた筈だが…これはこれはいかがな状況であろうか。あの人間と今から交戦するという所ではないか…急ぎ向かわねば。」

 

このアインツベルンの森に潜んでいた魔物部隊の隊長の一人、雲の姿をした怪物ヘルクラウダーが空高く森の様子を観察していたところ、二人に気づいた。彼は、空から急降下してフレイザードのもとへ急行する。一方で、山本は敵の一人であるフレイザードに気づいた。

 山本「…ん?奴を追っていたら、どうやら別の敵にあってしまったようだ。…奴には洗いざらいすべてをはいてもらおうと考えていたのに…。どうやら、邪魔をするようですねそこのモンスター。」

 フレイザード「そりゃそうだ。それが俺の役割だ人間!!今なら邪魔する奴もいねぇしな。いま、敵対しているのは俺一人だ!!」

確かに、その時点ではそうである。が、山本はもう一人の強者の気配に気づいた。

 山本「いや、どうやら俺はますます不利になりそうな展開になってきたみたいだ。」

丁度、ヘルクラウダーがはるか上空から急降下して山本のところまで来たようである。