逃亡劇、そして復活 53

 葉「うん。そうだね。…でも、まさかあの子の仲間がこんなにいっぱいいるなんて想像つかなかったなぁ。」

それもそうである。恐らく、ざっと50人はいるのではなかろうか。彼らを見ていると、葉は自分の考えが恐らく当たりではないかということに確信が持てた。なぜなら、これだけの人数がいれば、男女差や年齢差はあれど、なぜかあの少女とほぼ似た雰囲気ばかりなのだ。しかも、不思議なことに、年齢が三十歳以上の幽霊がここにはいないのだ。

 

時空省から聞いた話で何となく知っていたが、恐らく彼らは人造人間【ホムンクルス】なのだろう。どうやら、この森はアインツベルンという魔術師が所有している森らしい。…そのアインツベルンの一族自体がほとんどホムンクルスらしいとは聞いていたがこれは驚きだ。

 

アインツベルン。それは、とある魔法使いの弟子たちが西暦一年に作った工房だ。弟子たちは、900年の徒労の末、師を超えるほどのホムンクルスを鋳造するに至るが、それは偶然の産物であったそうで、そのあと、彼らは本当の完成品を作ろうとしたが成功せず、ホムンクルスが多く残っただけだったそうである。この霊達は、恐らくその大量に製造されたホムンクルスのうちの一部が、何かしらの影響で霊という肉体がない形で現れたのだろう。