拳を極めしもの 3
会談はもう終わりのところのようだ。那由多と名乗る者は、座敷から立ち上がり、鬼舞辻に背を向け立ち上がろうとする。どうやら、帰ろうとしているようだが、その前に、鬼舞辻が何かに気づいたようだ。
鬼舞辻「…おや、どうやら別の客人が来たようだ。」
那由多「あなたも感じ取りましたか。私も気を感じました。…これは…この感じ。」
那由多は、神秘的な雰囲気を醸しながら落ち着いた雰囲気で物事を察知する。その仕草の一つ一つが美しさを醸し出すほどだ。
鬼舞辻「どうやら、懐かしんでいるような顔をしているようですが、知り合いかな?」
那由多「そうだ。懐かしい。かの大戦でこの私に迫ることができた数少ない者の一人だ。今回は、遠慮してほしかったのだが、もしかすると、私がここに来たせいで彼のいたところの空間に穴でも開いたようだ。」
鬼舞辻は、冷静を装いつつも、恐怖を抱いていた。もし、彼の言ったことが事実だとしても、この無限城に迷い込むのはほんのわずかの可能性も…
那由多「ふむ、困った。彼はこちらに近づいてきているようだ。…が、心配は要らないと見ていいかな?君の配下の…確か【十二鬼月】の上弦の三が向かっているみたいだ。よかった。護衛を呼んで正解だった。」