拳を極めしもの 4

那由多にとっては、これは本当に細事なことであるのだが、鬼舞辻からすると相当な大事である。もしかすると、自分は恐ろしい者と契約してしまったのか?ならば、いっっそこの男を自分の配下である鬼としてやればいいのではないか。…と思ったものの、それは全くの不可能であろうということもすでに知ってしまった。ならば、ここは自分の配下である【十二鬼月】にたよってこの大事を遠ざけてしまうのが一番いい。そういう結論に彼は達した。とっとと、用のない客は帰ってもらおう。

 

 無惨「あなたの言う通りだった。私も忙しいので、客人の相手はあなたの言う通り【猗窩座】に任せておこう。…そういえば、那由多殿?」

 那由多「どうかしたのかな無惨殿?」

 無惨「その客人、本当に人間なのか?」

 

そう、無惨は気づいてしまった。目の前にいる人外こと、那由多の眼前にその者は迫ったというのだ。その客人が、とんでもない化け物であるということを、無惨はたった今悟ってしまった。が、もう手遅れだ。頑張って猗窩座に食い止めてもらうしかないというのが現状だった。

 那由多「おや、心配そうな顔をしているね。大丈夫だ。いざとなったら【私】がいる。大船に乗った気持ちでいて欲しい。」

とは言ったが、正直無惨の気持ちは休まるどころの話ではなかった。