欺瞞 4

その声、忘れるはずもない。いや、忘れるはずもない。この星とは違う、並行世界のとある星。かつて自分は彼と遭遇し、そして仲間を惨殺された。

 

後に再び語ることになるが、山本次官はこの男に会ったことがあるのだ。それは、2597年の春。異常な速度で出世をしていた山本誠一は、ある事件の当事者となる。それは、ライフストリームという、エネルギーに関する調査だ。厳密には、何者かが不法に異世界であるとある星のエネルギーを持ち出したというのだ。それは、どうやら地球の時間犯罪者によるものであることが判明し、一個師団を地球時空省は派遣した。…そして、北の大空洞と呼ばれる場所で調査をしていた時である。…彼は姿を現した。彼は、十数人を殺戮し、一人を除いてすべて殺した。…その時の生き残りこそ、山本誠一である。

 

 山本「…まさか?いや、そんな筈はない!お前が何故ここにいる!」

 ?「さぁ、なぜだろうな?私から言えることは、この空間が歪が故にこの世界に降り立てたということだ。…私の母もどうやらこの星に降り立っているのも原因の一つだろう。」

 

山本は、あの時彼に会った時と同じ心境になっていた。長く伸びた銀の髪にこの世のどんな人間より整った顔立ち、そして全身黒づくめの細身の長身。刃渡りが二メートル近くあろう日本刀のような得物を携えてた彼の姿は、この世界の何者にも並ぶことのない神秘性を帯びていた。彼の名は【セフィロス】。かつてかの星を滅ぼそうとした落ちた英雄である。