拳を極めし者 18

そのまま下に降り立った銀河は、激しい戦いを繰り広げた二人相手に拍手を送りながら近づいていく。そして、いつものように穏やかそうな口調で健闘を称え始めた。

 

 銀河「いやいや、実に見事な戦いだったね。久方ぶりにこれだけの拳打戦が見られるとは。」

と呑気にほめたたえる彼の頬のすぐ横に火球が通り過ぎて行った。豪鬼の放った灼熱波動拳が通り過ぎて行ったのである。が、銀河はそれを避けようともせず、少し後ろを振り返るぐらいで、そのまま何事もなかったかのように豪鬼の元へ歩いて行った。

 

 銀河「いやいや、そんなことをしても無駄だよ豪鬼。…いや、今のは君の私に対する意思表示だということだね。」

優しく豪鬼に問いかける銀河。その質問に対する豪鬼答えはというと。

 豪鬼「如何にも。今のは我のそなたに対する意思表示なり。」

銀河の思った通り、自分に対する拒否の意思表示であった。とはいえ、そんな態度をとった豪鬼に対して、余裕の表れかは分からないが、特段怒る様子でもなく、いつものように穏やかな態度で豪鬼に話しかける。

 銀河「それもそうだろう。あの時からそうだが、現時点でも我々は敵だ。ただ、現時点では私を倒すことは出来ない。何せ、神を超越した存在だからね私は。…が、私の予測ではそのうちこの私を脅かす存在が現れる。それまで君は別の敵と戦っていればいい。」