欺瞞 8
その疑問は辺りを見渡していくとすぐに分かった。昼間カルデアスがあった部屋と多少似てはいるが明らかに違う部屋なのだ。
山本「これは一体。いや、これも恐らく空間のゆがみがもたらしたもの…ん?いや、違う?」
山本は、空間の歪みが発生しているのは先ほどの通路までということを超能力の一つである者の記憶を見る能力で感じ取った。寧ろ、この場所は空間が安定しているということに気が付いた…が、同時に透視能力で恐ろしい光景を目の当たりにしてしまった。
山本「っ…どういうことだ?これは…この時代における地球なのか?」
彼の脳裏に浮かびしは全てがあたかも漂白されし白紙化した地球の光景であった。そうして、次第に彼はカルデアスを通してだろう。全ての真実を目撃した。情報という情報が洪水のように山本の頭の中に入っていく。
山本「…そうか、ここが今現在における本当のカルデア。自分が先ほどまでいたカルデアは、過去のカルデアという訳か。厳密には、誰かが魔術を利用して作った偽のカルデアという訳だ。時空省の皆も騙されるほど精巧なレベルでね。」
そう、かつてのカルデアは雪が吹雪く高山地帯にあったが、異星の神の手下に襲撃され壊滅。彷徨海という魔術研究の権威に移転されているという事実である。