拳を極めし者 20

銀河はそろそろ自分の住む場所【無限界】に戻る準備を整える。無惨にはよくもてなしてもらったからか、銀河は満足そうである。それに、彼自身、必要最低限の役者がそろったというのも大きい。

 

が、鬼舞辻はというと正直不安という言葉が思い浮かんだ。

 無惨【一体なんだこの化け物は。あの男を一瞬にしてどこかに消し去ってしまっただと!…私は厄介ごとに巻き込まれてしまったというのか。しかしだ、私には拒否権がない。いや、拒否することがなぜかできないのだ。何故だ!】

 

無惨は、銀河と話し合っているうちになぜか気持ちがよくなり、そのまま彼の提案を飲んでしまったのだ。

 

事実、こちらにとってはあまり不利になるようなことはないのだから問題は一見内容に見える。戦闘はできるだけ夜にしてくれる提案や、こちらの動きに関しては、戦争に参加する限りは干渉しないということだ。が、最後の彼の提案に無惨は驚かざるを得なかった。

 無惨【もし、そのようなことが本当に行われたなら、この宇宙はいったいどうなるというのだ?】

 

…不思議なことに、彼と交渉したあらゆる者たちが、最後の提案もすんなりと受け入れてしまうのだ。…その内容というのが…

 

すべては、阿僧祇の闇にて語られることとなる。が、その前に、もう一人、激闘を繰り広げた鬼が起き上がろうとしていた。