拳を極めし者 23

  銀河「いや、すまないね。ちょっとそこを通してもらうよ。私はまた別の客人を迎えなくちゃあいけないからね。」

と言い残し、固まって動けない二人をしり目に、その場からあたかも霞のようにどこかへと消えていったのであった。

 

と、同時に、ふたりは何事もなく動くことができるようになったが、二人はなぜだか体が震えていた。

 無惨【やはり、あの者、只者ではないということか。いや、それどころか、この世の理をひっくり返そうとせんとするものである…ということが分かっただけでも収穫だ。】

 

と考えて気持ちを落ち着かせる無惨。と、まだ立ち尽くしている無惨に対し、いまだ呆けているのが猗窩座である。そんな彼に、無惨は指令をだす。

 無惨「猗窩座、そろそろ気を取り戻すころではないか?」

その言葉で、猗窩座も気を取り戻した。そうだ、俺はあの男を追う途中だったはず。が、しかし、体が急に動けなくなってしまってそのまま相手が逃げ去ってしまったという事実に呆然としてしまいそうになった。が、無惨様相手にはそれも吹っ飛ぶようである。

 

 猗窩座「は、無惨様。俺としたことが、大変申し訳ありません。」

 無惨「何、気にしなくともよい。私も開いた口が塞がらないところだ。」