片翼の天使 5

そう困惑している皆々をよそに、その怪物は言の葉を開く。一応、口らしい物は存在しないのであえてこういう表現をする。それが言うにはこうだ。

 ?「…とまぁ貴方をイラつかせてしまったみたいだけど、今はそう戦闘態勢取られても困るのよ。…この体はあくまで仮だし。」

 モリアーティ「まぁ確かにそういわれてみれば、余り生命反応が強くはないみたいだネ。いや、あなたが男性か女性かはわからないが…」

 巴御前「そうですね。生き物というにはあまりにも生きている感じが弱いですね。ということはこれは?」

 山本「またその手段か。いわれてみると、それがお前の常套手段だったな。が、その力を利用して時空省の歴史室室長毛利殿から情報を抜き取ったのは既にばれている。まぁそうやっていろんな星々を滅ぼしまわったんだろうけど、ゼーナとかいう偽名なんか使って何を企んでいるのやら?」

 

 超能力。山本次官には不思議とそういったものを持っていた。その中の一つである、思考の透視を用いて相手の思考を読み取った。相手のプライバシーを覗く故、あまり使わないが、相手は星々を滅ぼす外道。本来なら名を持たぬ異形の怪物。星を食い尽くし、その星を船としてまた新しい星を食いつくす、星の厄災。して、ある世界にてつけられた仮称は【ジェノバ】。これがこの怪物の正体である。