片翼の天使 26

ほら、早く逃げないとお前のこころはこわれてしまう。

声がする。にげろという声。しかし、逃げたくない。逃げたら彼は殺されてしまう。

彼女は再び彼の助けに向かう。が、結果は何度やっても同じだった。

なぜ逃げない。ほら、逃げないと永遠にお前は苦しみ続けるだけだというのに。

でも、逃げたくない。逃げたらあの結末を迎えることになってしまうのだから。

しかし、結末は同じだった。何度繰り返してもその結末は変わらない。そう、過去を変えることはできないのだ。

絶望しろ、決してお前の運命はかわらない。さぁ、戻ろうじゃないか。ほら、お前のマスターが笑って向こうで待っている。

 マスター?「巴、こっちに戻ってきてよ。ほら、そんな過去を捨てて一緒に遊ぼうよ。そうじゃなきゃ先に進めない。過去を捨てなければ君は苦しいままだ。さぁ、こっちにおいで。みんながここへ待っているから。」

 

そうだ、そうですね。このままだと私は苦しい。そうだ、逃げていいんだ。そんなことより、みんなが自分を待っている。そうすれば、苦しまなくて済む。みんなと一緒に笑って…