第二章 前日9

一方で、エルリック兄弟は破壊された車から無事脱出に成功し、仲間たちを探しているところである。

 エド「たくっ、どういうことだよ!なんか変な連中に襲われて車がぶっ壊れるわ、仲間とはぐれるわ、どうなってんだ!」

 アル「確かに、よく無事でいられたよね…、ほかのみんなとははぐれてしまったみたいだけど。ん?あそこにいるのは…」

アルフォンスは、外灯の下にいる二つの人影を見つける。どうやら、銀時と冴羽のようだ二人もこちらの存在に気付いたようで、こちらに向かって手を振っている。

 冴羽「ん?あれは。どうやら、君たちも無事見たいねぇ~」

いつもの気の抜けた雰囲気に逆戻りした冴羽の横で、同じく気の抜けた雰囲気を醸し出す銀時もこちらに向かって身振り手振りをする。

 銀時「よう。大丈夫だったか、若いもん!」

そんな彼らに対して、錬金術師兄弟は拍子抜けした感じで返事を返す。

 エド「ようって…、相変わらずだなお二人さん。といっても、ほんの一週間の付き合いでこんなセリフを言うのもどうかとは思うけど。」

 アル「まぁ、この二人らしくていいんじゃないの?確かに気が抜けはするけど。そういえば、他の皆さんは?」

 銀時「どうやら、ちりじりみてぇだ。でも、そんなに遠くへは行ってないはずだけどな。」

四人はあたりを少し見渡しながら、果たしてこれからどうするかを考え始める。

 

 銀時「さてと、これからどうすっかな~。まずは、あのあたりを見てみるといいんじゃねぇかないかねぇ?」

その中でも、街灯にもたれかかりながら考え事をする彼は【あること】に気がついていなかった。そんなことを露ともしらず、彼は考えを巡らせていく。

 銀時「んー、それともあれか。もうちょっと違うところ見て回ったほうがいいかも知んねぇな。…ん?お前らどうしたんだ?」

なぜだかわからないが、みな銀時のほうを指さし、血相を変えてゆっくりと後ろに下がり始める。銀時は皆がそのような行動をとっているのかわからないでいた。

 銀時「ん?どうした。なんかゆ~っくりと俺から離れていってねぇか?冴羽さんもどうしちゃったの?俺に拳銃なんか構えて?」

 

 銀時は、冴羽の横にいるエルリック兄弟にも目をやると、これもまた何か悪い夢を見ているかのようなひどい顔をしてこちらを指さしながら何かつぶやいているようだ。