時空省【時を超える者たち】 5.5章 鬼と鬼

拳を極めし者 終 

が、それでもさすがに二人とも自分の直属の部下。失うのはよくない。そこで、無惨はある者の協力を得ることとなる。その人物は、後頭部が後ろに大きく広がった老人で、着物を着た老人であった。 老人「はてはて、なかなかに奇怪なお城ですな。…まぁ、建物の…

拳を極めし者 23

無惨は居直ると、 猗窩座は無惨に対して片膝をつく。 無惨「あの男のことを探れ、運のいいことに、あの男、この無限城に異界への入り口を作ってくれたようだ。何処に繋がっているのかは分らんのだが、その先には何かしらの手掛かりがありそうだ。」 無惨はそ…

拳を極めし者 23

銀河「いや、すまないね。ちょっとそこを通してもらうよ。私はまた別の客人を迎えなくちゃあいけないからね。」 と言い残し、固まって動けない二人をしり目に、その場からあたかも霞のようにどこかへと消えていったのであった。 と、同時に、ふたりは何事も…

拳を極めし者 22

猗窩座はすぐに後ろに下がったため、傷を負うことはなかった。勿論、避けずとも死ぬことはないので、炎を無視してでも銀河に拳打を浴びせることも出来た筈。なのにだ、猗窩座の体はあろうことか後ずさりしたのだ。 猗窩座【どういうことだ?俺はなぜ後ろに下…

拳を極めし者 21

見事に術中にはまってしまったらしい鬼舞辻は、そのまま別れのあいさつでもして元の世界に帰ろうとする。が、彼の前に誰かが立ちふさがっている。猗窩座だ。いつの間に目を覚ましたのだろうか?その目は、那由多銀河を激しく睨めつけ、唸るような声で彼に一…

拳を極めし者 20

銀河はそろそろ自分の住む場所【無限界】に戻る準備を整える。無惨にはよくもてなしてもらったからか、銀河は満足そうである。それに、彼自身、必要最低限の役者がそろったというのも大きい。 が、鬼舞辻はというと正直不安という言葉が思い浮かんだ。 無惨…

拳を極めし者 19

そのままどうしたことか、銀河は踵を返し、そのまま立ち去ろうとした。が、そこで豪鬼が引き留めようとする。 豪鬼「待たれよ。そなたは我に闘いを挑もうとはせぬのか?」 銀河「残念ながらまだちょっとだけ早いんだ。そのうち、君に会える日がまた来ると思…

拳を極めし者 18

そのまま下に降り立った銀河は、激しい戦いを繰り広げた二人相手に拍手を送りながら近づいていく。そして、いつものように穏やかそうな口調で健闘を称え始めた。 銀河「いやいや、実に見事な戦いだったね。久方ぶりにこれだけの拳打戦が見られるとは。」 と…

拳を極めしもの 17

豪鬼「…滅殺」 豪鬼の前には、仰向けに倒れたまま動けない猗窩座がいた。一瞬の出来事に何が起こったのか全く理解できない無惨。だが、これは紛れもない事実である。 無惨「…信じられぬ。猗窩座が鬼狩り以外に敗れるなどということは想像もしていなかった。…

拳を極めしもの 16

猗窩座「…なんだ、あっけねぇなぁ。まぁ、流石にあれだけの技を同時に食らえば跡形もなく消し飛んでも…」 突如、猗窩座は違和感を覚える。急に首のあたりに痛みがしたような気がしたからだ。 猗窩座「ん?気のせいか?痛みが走った気がしたが?」 と、後ろを…

拳を極めしもの 15

そして、ついに動き出した。そのタイミングは、全くの同時である。それは偶然とも言えるかもしれないが。二人にとっては必然のタイミングだ。何故二人は同時に仕掛けたか?それはお互い長年の経験によって培われた相手に対する殺気の感知だ。 戦士というもの…

拳を極めしもの 14

瞬獄殺。字ずらからして物々しい技であるのだろう。だが、どんな技であるのかは見当もつかない。 無惨「瞬獄殺?いったいそれはどんな技なのだ?」 銀河「それは見てのお楽しみだ。…もっとも、一瞬で終わってしまう技だ。よく目を凝らしてみたほうがいい。……

拳を極めしもの 13

銀河「ふむ、あとは最後の一手で決めるしかないという訳か。互いの最強の技を出し、上回った方が勝つ。まぁ安心なさい。猗窩座は負けたとしても死ぬことはないでしょうから。逆に、豪鬼が負けた場合はイコール彼の死となるが、果たして。」 互いの闘いを高み…

拳を極めしもの 12

そうこう話している間にも戦闘はますます激しくなっていく。そのせいで、無限城は相当ボロボロになっている。人外と人外の闘いは激しさを増し、技の応酬となっていた。猗窩座は豪鬼の背後をとって、蹴り上げたが、すぐさま後方へ振り向き、自らも蹴りを繰り…

拳を極めしもの 12

空中で構えをとった豪鬼は、右手に気を集中させる。すると、そこに気の塊が青白い球体になり、それが凄まじい勢いで猗窩座目掛け飛んでいく。それでも、猗窩座の反応はそれの直撃を許さない。それどころか、むしろ反撃しようと技を繰り出す。 猗窩座「破壊殺…

拳を極めしもの11

猗窩座は全てガードしきったものの、蹴りの全ての威力が必殺技級を誇るため、腕がしびれていた。 猗窩座「成程、こいつは来た、来たぜっ!!さて、次はどんな技が来るんだ?!もっと俺を楽しませろ!!」 と、当の本人は完全に楽しそうだ。それもそうだろう…

拳を極めしもの 10

猗窩座「…へっ、へへっ。」 猗窩座の様子が、どうもおかしい。間違いなく、彼は先ほどの衝撃で、いくら鬼とはいえすさまじいダメージを負ったはずなのだ。しかしながら、彼は下を向いたまま何故か彼は笑みをこぼしていたのだ。 猗窩座「いや、なんでだろうな…

拳を極めしもの 9

猗窩座はその動きに対しても驚異的な身体能力でその攻撃を躱した。が、その蹴りの勢いやすさまじいものであった。豪鬼の蹴りは、彼らが戦っていた部屋全体の屋上を破壊するだけならまだしも、一部屋を丸ごと破壊したのである。二人はそのまま下へと落下して…

拳を極めしもの 7

猗窩座と豪鬼は、互いに構えをとる。豪鬼は、ただ相手をじっと見極めるという体裁をとるのに対し、猗窩座は何か始めるようである。 猗窩座「術式展開 破壊殺・羅針」 と唱えると、拳闘の構えをとった猗窩座の足元には、雪の結晶をした陣が展開され始めた。 …

拳を極めしもの 6

猗窩座【まさか、本当にこの場所に人間が来るとは驚きだ。…しかも、こいつは…久しぶりに楽しめそうだ。】 気配を察知した猗窩座は、その強力な気がするほうへ一気に駆け上がったり、駆け下がったりする。その勢いは、獲物を追い求める狼のごとく、といった所…

強者相まみえる9

9 そうして必死に脱出地点に向かっている彼らを逃がすために、殿を務めている忠勝ら三人組。しかし、そろそろジャンヌの宝具の効果も切れ始め、そろそろ自分たちも撤退したほうがいいのではなかという雰囲気が漂っていた。 忠勝「むぅ、もう一人の救援が来る…

拳を極めしもの 5

一方で、この場所に迷い込んだ者は、かつて自分が会ったであろうその気配を頼りに歩みを進めていく。 ?【しかし、奇妙なり。この気配は間違いなくあ奴。しかし、何故この場に?…む、それ以外に何者やらの気配が…】 彼が感知したその気配の主は、彼のもう近…

拳を極めしもの 4

那由多にとっては、これは本当に細事なことであるのだが、鬼舞辻からすると相当な大事である。もしかすると、自分は恐ろしい者と契約してしまったのか?ならば、いっっそこの男を自分の配下である鬼としてやればいいのではないか。…と思ったものの、それは全…

拳を極めしもの 3

会談はもう終わりのところのようだ。那由多と名乗る者は、座敷から立ち上がり、鬼舞辻に背を向け立ち上がろうとする。どうやら、帰ろうとしているようだが、その前に、鬼舞辻が何かに気づいたようだ。 鬼舞辻「…おや、どうやら別の客人が来たようだ。」 那由…

拳を極めしもの 2

?「ぬぅん?これは、…ふむ。これは、我を誘っているのか?それとも何なのであろうか。」 彼は、導かれるようにそのままその空間の裂け目へ入っていった。そこには、何があるのか確かめるために。 しばらくは、真っ暗な空間が続いた。その者は、奥のほうに輝…

拳を極めしもの 1

その島は、日本のどこかにあることは間違いはないのだが、誰もその場所に近寄らないため、はたからは無人島のように思える。しかし、時折その島からは鬼の唸り声のようなものが聞こえるという。その島の名を、獄門島という。勿論、彼の住まう世界には鬼なぞ…