ノムウカルデア 凄惨 1

マダラは、この後起こりうる事態に備え、いかなる準備にも備えることにした。その後も軽い小競り合いが多少続いたが、特に問題もなく戦闘も終わり、残るは彼女の精神世界の奥へと進んでいった。

 マダラ「さて、だいぶ奴の精神の奥底へと進だな。どうだ、俺には妖精の精神構造とかはよくわからんが、異常をきたしていたりとかはなさそうだな。」

 オベロン「まぁ、人間よりは丈夫だとは思うけど、流石にこんないかれた場所だ。気がいつ来るってもおかしくないって感じだよ全く。」

 アルトリア「ほんと、ちょっとこの人の精神世界どうなっているんでしょうね?妖精眼で見るよりはっきり形として表れているせいで余計に気分が悪いですが、何とかなっています。」

 

とは口では言う物の、唇が真っ青になり、顔色が悪い彼女を見ていると、思わず気にかけたくなるマダラだった。

 マダラ「大丈夫か本当に?うーん、単純にこういった悪意に弱いのかな君は。術の類というよりは、単純にこの空間の異形さに閉口しているという所か。」

 

そうだろう、紫色をした洞窟が波打ち、なにやら上から不気味な色をした液体が零れ落ち、あたり一面には先ほどのスライムをさらに不気味にした気味が悪い生物がいる。これは流石に普通ならきつい以外の何物でもなかろう。

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 79

オベロン「成程、うちはマダラ殿。あなたが何者かはよくわかりました。成程、あのセフィロスジェノバとかいう二人の異世界からきた連中両方を鎮めるためにやって来たエージェント…みたいな感じでいいのかな?」

 マダラ「そういうことだ。敵ではない。ああ、最後にこの精神世界についてもう少し詳しく話そう。そうだな、ここはいわば奴を倒すためのヒントとなっている世界だ。俺は、幻術を通して相手の精神世界を覗き見ることができる。」

 

ま、嘘なのだが。あくまで、これはマダラがいままで彼女の横にいたからこそできる芸当だ。ま、バレることはないので問題はないのだが。

 マダラ【さてさて、ここまでは俺の嘘を交えながらだが、ここからは大事な局面だ。奴が何を考えているか分かれば、後はこの二人が勝手に止めてくれるだろう。その後、俺はこのカルデアから去り、あの男が何とかしてくれるだろう、後は。】

 

と、若干不安げなマダラだが、後は問題ない。いや、待て待て。なんか出てきたあのスライムは俺の幻術にはいない筈だ。銀河の言う通り、あのジェノバ、俺の幻術に入り込むことができる可能性があるとか言ったか。どうも、奴も幻覚を見せることができるというではないか。厄介だ。どうやったかは知らないが、この先に進むのは相当危険というわけか。

 マダラ【まぁそれでも行ってみる価値はある。精神世界ではもう10分は立ったかもだが、リアルでは恐らく1秒切っている。この妖精二人のリアクション次第では、カルデアの連中も驚くことだろうさ。】

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 78

銀河「そうだな、一言いうなら【石板は一枚だけでいい】。以上だ。」

そこまできちっと予言せんでもよかろうに。そこを当てられるとは思わなかったマダラだった。さて、まだ問題は解決していない。これで奴の真相心理に近づけることになるなと思っているマダラの横で、彼の強さに感心している二人がいた。

 アルトリア「すごい。あれだけの数のモンスターを一瞬で。」 

 オベロン「すごいな。驚いた、相当強いね君。」

 マダラ「伊達に長生きはしてないさ。…さて先に進むが、お前達、その前に俺に聞きたいことがあるんだろう?滅茶苦茶俺のこと疑っていることをわかっているからな。」

 オベロン「そうそう、君めっちゃ怪しいもんね!?心の中覗こうと思ってもその目のせいか覗けないし、何者なの本当に?」

 アルトリア「そうそう、質問したかったけどおじさん何者!?」

 

…これはきちっと説明した方がいいな。ということで、マダラはセフィロスと同じ陣営の者ではないという嘘を交えながらうまいこと相手に自分のことを説明した。…虚実を交えて話すことは忍びなら得意中の得意なこと。…確か、妖精には【妖精眼】という相手の心を読む力があるらしいが、運よく写輪眼でごまかせているようだ。…しかし、俺の眼そんなごまかしの力もあったのかと一安心のマダラだった。

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 77

 マダラ【全く、厄介だなあの女。…銀河の言う通りにならければいいのだが。】

マダラが急にこのカルデアに派遣された理由にはもう一つだけあった。それは、科学者【ゼーナ】もとい【ジェノバ】が暴走した際のストッパー。それがうちはマダラだった。恐らく、彼女はこのままだとカルデアを滅ぼす。セフィロスの口車に乗せられて。

 

マダラがカルデアに来る前に、銀河から言われたのはそういうことだった。カルデアを滅ぼすことだけはやめていただいて、カルデアのマスターだけは連れて帰れという命令を下された筈なのだが、ジェノバはひどく嬉しそうだったことを覚えている。

あの時の銀河の顔を覚えている。俺は単に横にいただけなのだが、その顔は彼女の内面をあたかも覗いたかのように達観した表所だった。

 

 銀河「いかんな。あいつ、カルデアのマスターを好きなようにするつもりか。…それは厄介だ。初手で作戦に詰まるのは問題だ。…そうだなぁ。マダラよ、おまけで石板探しのついでに奴を監視しておいてくれ。…何なら、お前の力を使ってサーヴァントに協力してやってもいい。」

 マダラ「分かった。…石板ついでに監視しておこう…ではもう行く。…何かほかに言うことはないか?」

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 76

三人は、目の前の異形なる化生と戦う。キャストリアは魔術で編み出した光輪を複数召喚し、それをスライム相手に飛ばす…が、弾力がいい体でできているのか、攻撃がはじかれてしまった。

 アルトリア「駄目だ!攻撃がはじかれちゃう!」

 マダラ「あのボヨンボヨンのからだではなぁ。…サポートを頼むアルトリア、オベロン。…俺が片づけるとしよう。」

ありがたいことに、二人ともサーヴァントをサポートをすることが得意なサーヴァントだ。マダラは、二人からの能力向上スキルにより攻撃力を上げたのち、うちは一族の得意技で全て蹴散らした。

 マダラ「なるほど、これは素晴らしい。…では、終わらせるとしよう。撹乱はもういいぞ二人とも、…隙ができたそこだな…【火遁!!豪火球の術!!!】」

 

うちは一族といえばやはりこの技である。特大の火球を吐き、あたり一面の敵を焼きつくすというシンプルかつ強力な術。…一応、これでもうちは一族の基本技である。【これが出来たら一人前のうちは一族に認められるようである。】一瞬にしてスライムは蒸発し、跡形もなく燃えつくした。

 マダラ「あんなのに殺されたら厄介だ。…奴め、厄介なことをする。そんなに己の頭の中を見られるのが嫌なのかと見えるな。」

実を隠そう、マダラはこのジェノバという科学者…という非人間が嫌いである。ある目的のため、この二人に彼女の精神を見せようとしたのだが、流石にそう簡単にはいかないようだ。

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 75

そのままマダラは、先へと進んでいく。するとどうだろうか、次第にとても研究室とは思えないような場所となっていく。紫色に光り輝く、奥深い洞窟というのがしっくりくる。異様である。少なくとも、人間がこの場所にいたらすぐに気持ちが悪くなること請け合いである。

 マダラ「さて、ここから先は奴の精神世界。ようは、俺の幻術を通して奴の心の中を見ていると言っていいだろう。どんな混沌が待ち受けているか俺にも分からん…と言っておいた筈なんだがさっそくこれだ。」

 

マダラたちの前に現れたのは、謎のアメーバ状のモンスターだ。しかも、色とりどりで、紫色や、青などカラフルではあるのだが、色合いがどう考えてもやばい。やや色がくすんでいるせいで、不気味さ満点である。悲しいことに、戦闘をしないと先に進めてもらえないらしい。

 オベロン「いや、混沌すぎるでしょ!?なんで幻術なのに襲ってくる上、あんたコントロールできてないわけ?!」

 マダラ「仕方がない。ここからは奴の精神空間だとさっきも言ったが、あくまでジェノバという個人の心の中を俺の万華鏡写輪眼を通して映し出しているだけだ。当然、不測の事態も起こりえる。気を付けろ、あれにやられたら恐らく精神崩壊を起こす。まぁあれは言わば用は奴の心のバリアーだな。当然そうなると思え。…俺も手を貸す。退けるとするか。」

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 74

と、マダラはそのまま二人に付いてこいという仕草をする。どうやら、この場所を案内するようだ。

 オベロン「手招き?ああ、ついてこいってことか。」

 アルトリア「ついていくしかないようですね…。でも、ここは現実の空間じゃないのでしょう?何かあるかもしれません。気を付けましょう。あの人どう考えても胡散臭いですし。」

 

そのまま、マダラの後を付いていく二人。しかし、改めてここは本当に幻術なのかと思うほどリアリティがありすぎる世界だった。全てがまるで本物のようで、肌に感じる空気感、視覚に映る映像、足元の感触。いくら何でもすべてがさも現実ではないかと思う物だった。

 

 オベロン「いや、しかしこれ本当に幻術の中なのか?」

 マダラ「驚くのも無理はないか。うちは一族の見せる幻術は、そうだな?説明するならお前たちの世界でいう所の仮想現実の技術をさらに発展させたことができる…といったところか?その辺の幻術使いと比べてしまっては困る。」

 

とそのまま二人を連れるマダラ。しかし、この研究室らしき場所はあの謎の女博士が働いている場所なのだろうか?他にも、研究員がいるようだ。

 アルトリア「うわ、これも幻術?」

 マダラ「そうだ。勿論、彼ら彼女らの実際の彼女の部下を再現している。幻だがな。」