第一章 さまよえる者たち 18

 私は保留にしていた無線を再び時空乱流対策室につなげる。

山本「いや…申し訳ない。今戻った…」

と言い切ろうとしたのは良いのだが、【ツ”ァ”ア”】という声で思わず無線を切りそうになった。どうやら外線を間違えたようだ。

 今度は間違いないようにかけなおすことに成功した。

宇和島「大丈夫ですか?何か大きな声が聞こえたようですが?」

 私は自分に落ちつけと言い聞かせながら「問題ない、ちょっと無線が魔界につながっていた。」と冷静に返した…つもりだ。

迷い込んできた三人組にも大きな声が聞こえたらしく、「一体何があった?」 「何やらすっげぇ声が聞こえたんだが…」

確かにそういいたくもなるだろう、普通は。私は早く話をもとに戻したいので無理やり話を戻そうとする。

 山本「コホン…。さて、話を戻したいのでそろそろいいかな?その、【魔人デミーラ】とかいうやつについてもう少し何かわからないのか?エルザ。」

 エルザ「あぁ、少しの間しか会わなかったが、今まで感じたことのない威圧感だ。それだけはいえる。」

 山本「そうか…。私は明日から休暇のつもりだったが、これは休日返上になりそうだ。私も奴について調べるとしよう。それと、何とかして君たちをもとの世界に戻せるようこちらも努力しよう。約束だ。」

 エルザ「すまないな、よろしく頼む。ギルドの皆のことも心配だからな。」

 ゾロ「おれも仲間のことが気になるからな、早く頼むぜ」

 良牙「おれも、よろしく【ツ”ァ”ア”】のむって誰だ!今の声は!

 どうやら声の主【リヒター・ベルモンド】がこの部屋の近くまで来てしまったようだ…