第一章 さまよえる者たち 19

?「どこだ!ツジタニ!リヒター・ベルモンドが迎えに来たぞ!」

 …どうやら現在この時空省内にいる最後の【迷い人】が来たようだ…。彼の名は、さっき名乗ったように【リヒター・ベルモンド】という。前のページの【ツ”ァ”ア”】は彼が叫んだセリフだ。

 彼について簡単に説明しよう。時は1792年、トランシルバニアを支配するヴァンパイア【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ

を打倒した伝説をもつ【ヴァンパイアハンター】である。およそ千年にわたり、一族そろって強力な力を持つという。彼はその中でも最強の力をもつといわれている人物だ。

 宇和島「…あぁ、リヒターさん。今日も元気がいいようで。」

あまりに熱血すぎるリヒター、少し引き気味の彼女のことなど気にせず彼は元気のいい感じでしゃべくりまわる。

リヒター「うむ!私はいつものように元気だ!…そうだ!辻谷はいないか?師範と共にここによるといっていたが…」

 そんな彼に同じく引き気味のゾロも、「あぁ。あの兄ちゃんならもう行っちまったぜ!早くいかねぇと置いてかれるんじゃねぇのか?」丁寧に彼に教えた。

 リヒター「そうか。早く俺も【カゴシマ】に行かなくてはな!あそこには火山があるからさぞ熱いのだろう!それでは、俺は失礼する。さらばだ!」

 まるで戦隊ヒーローの赤ポジションの人の如く、熱気に満ち溢れ、燃えたぎっている彼は【ツ”ァ”ア”】と元気よく外へ駆け出して行った。

 山本「…元気だね~彼。」 

 良牙「あぁ…本当にな…」

私は無線越しからわかるすさまじい温度差を感じた。よく疲れないなと本当に感心する。

 エルザ「…すごい嵐が過ぎ去ったな…」

 ゾロ「あぁ…今まで何を話してたのか忘れた程にな…」

そうして、しばらく沈黙が流れた後、再び会話に戻る。

 山本「さて、話をもとに戻そう。明日から休暇っていう話はさっきもしたけど、休暇をとる場所が【21世紀の学園都市】というところだ。これはせっかくの機会だから、私が調べよう。」

 ゾロ「そうしてくれ。さっきも頼んだが、改めて頼む。」