二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】6

 二人の口調は、親子同士久々に出会ったような雰囲気である。しかし、なぜだろうか。二人から放たれているオーラは、感動的ではない。そう、それはむしろ【憎悪】といったほうが正しい表現だ。

 

アルク「【うっ、何とも言えない雰囲気ね…。どうやら、あなたたちが親子で、なおかつあまり仲がよさそうって感じじゃないわ…】」

 彼女は、視線を有角…いや、【アドリアン・ファーレンファイツ・ツェペシュ】、又の名を【アルカード】のほうへ向ける。先ほどの姿とは変わって、銀の髪に、黒を基調とした貴族の衣装を着こなしている。

 アルカード「…このような幻を見せても無駄だ【父上】…。はじめから、この幻想世界の中に【月の姫】を誘い込むこと、そして、彼女の力を【取り込むこと】を狙っていたのかもしれなが、その計画はここでおわりだ。」

 

 彼は、愛用している剣【アルカードソード】を横一閃払う。すると、先ほどまで図書館だと思われていたところは【墓地】へと変わっていった。そして、彼女が【志貴】と認識していた【老紳士】、いや、【すべての吸血鬼の神】【伝説のヴァンパイア】とここでは言い変えほうがよいかもしれない。そう、ルーマニアの【トランシルバニア】が生み出したる怪物、西洋妖怪の中でも最強クラスの力を持つ【悪魔城】の城主 【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】が二人の前に現れたのである。 

 ドラキュラふっ、私の力を打ち消すとは、さすが我が息子よ!父は、息子の成長をうれしく思うぞ!

ドラキュラは、自分の息子に思ってもいないことを言った後、この姿としては初めてとなるためか、彼女のほうを向き、優雅に一礼する。

 ドラキュラ「これはこれは、この姿としては初めてでしたかな、【アルクェイド】姫。我々とは違う種類の【吸血鬼】ですが、今後とも宜しく願いいる。