第三章 黒い剣士 1

 あたりに広がるのは只々荒野ばかりである。その真ん中に、一本の固く、黒い道が伸びている。そのような酷暑の中、黒い甲冑を着た男がただ一人で歩いていた。

 

  

 黒い剣士「しかし、何もありゃしねぇな。一体この道はどこまで続いてんだか。」

前を向いても、後ろを向いても、そこにあるのは赤い荒野と黒い一本の筋のみで、町らしき影は何も見えない。ただ、たまに横を通り過ぎる、車輪の付いた金属の乗り物が通り過ぎることはあるが。

 黒い剣士「さて、このまま歩いて行ってもどうしようもねぇ。次にあれが来たら乗せてもらうってのも有りだな。」

しかし、まず乗せてはもらえないだろう。彼は、彼が元々いた世界でも十分異質な存在であった。本人は気づいていないものの、ここは彼のいた世界、いや、次元といったほうが正しいだろうか、この世界ではより異質な存在だ。こればかりはどうしようもない事実。少なくとも、彼はあと半日は歩き続けなくてはならない。ただ、運がいいというのか悪いというのか、彼という存在が引き寄せるのか、その事件は起こる。

それは、人ではない存在だ。猫の体に大きな蝙蝠の翼を生やした怪物と、大きな蛾のような怪物が彼の背後に迫っていた。西洋妖怪として有名な【蝙蝠猫】と、未確認生命体、UMAとして有名な【モスマン】である。

 蝙蝠猫「あれが【ツェペシュ公】が言ってた【黒い剣士】ってのはあれか。」

 モスマン「どうやらそうらしい。どれ、少しもんでやろうではないか。」

そうして、未知の生物は黒に覆われたその男に挑む。数キロ離れたところから一気に詰め、空気を切り裂き、一気に降下し、爪を出す。そうして、目標に後一秒というところまで迫り、後はそれを振りおろすだけだった…。

 蝙蝠猫「黒い剣士!その首頂いていくぜ━」

はるか上空からやってくるその怪物に、普通の人間なら、只なすすべはなく、餌食になるだけだ。

しかし、それは刹那に起こる。彼らは、黒い剣士と同じような真っ黒いものによって二つに斬り裂かれる。

 モスマン「なっ…に…」

怪物たちは、一瞬過ぎて理解が追い付かなかった。あの人間は一体どこからそれを出したのか?後に気づいたときには、人間としてはかなりの体躯をした彼を超えるほどの何か切り裂いていったということだった。

 黒い剣士「残念だったな。俺を狙うにはもう少し目立たなくしねぇと。」

それは剣と言うにはあまりにも大きすぎた  大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた それはまさに鉄塊だった。

おまけ ↓

オープニング BERSERK ~Forces~