第三章 エピローグ

 ここはとても薄暗い場所だ。光は、人が一人入りそうな、液体の入った容器からするぐらいだ。

うちはマダラは、ゼーナと名乗る謎の科学者に、前段作戦が終わったことを報告するため、彼ら二人以外誰も知りえぬこの研究所を訪れていた。

 

 ゼーナ「あら、思ったより早く終わったようね。」

 マダラ「ああ、一応はな。あまりにも早く終わったゆえ、予定を少し変えてな。他の異世界で少し連れと暴れてきた。お前から貰ったこの力を少し試すには丁度良かった。」

 ゼーナ「さっそく使ってみたというわけね。どう?全盛期の【うちはマダラ】の力を取り戻した感じは?」

薄明りからでも分かるゼーナの笑みは、一体どこから来るものなのか。それは、自身の成果に絶対の自信を持つから来るものなのだろうか?彼女の笑みは、マダラの満足げな表情を読み取ったからであった

 マダラ「ああ、確かに一時間は少々短いと思ったが、十分だ。後数分で元の姿に戻ってしまうが、全く問題ない。むしろ、全盛期を超えているやもしれんな。これで、あと24時間は使えないが、よい切り札として使わせてもらおう。」

その姿は、何故か仮面を被り、己の姿を隠している姿ではなかった。髪の毛は若々しく伸び、何者をも寄せ付けない、若き日の姿そのものであった。正確には、その姿を【宿した者】であるが。

 ゼーナ「そう。しかし、いつまで【あなた】が【あなた】の正体を隠しきれるか、楽しみではあるわね。」

 マダラ「ま、そういうな。今目の前にいるのは間違い無く【うちはマダラ】だ。しかし、もう時間か。」

マダラはそう言うと仮面を再びつけ、暁の外套を着なおす。薄暗い空間に、わずかながら見える互いの影に、向かい合わせという形で会話する野望を抱く者たち。その片方から、計画の全容が語られようとしていた。

 マダラ「さて、そういえばお前は俺の話を聞きたがっていたようだが?これまでの途中経過を話せば問題ないな?」

 ゼーナ「そうね、聞かせてもらうわ。今までの作戦のことと、これからのことをね。