異世界侵攻録 ルガール・バーンシュタイン7

 元就「さてさて、私は裏方で指示を出すだけに徹するけど、先ほどの司馬懿殿の言う通り、相手をあまり刺激しすぎないようにするんだ。」

 そう言って、エドワードたちを送り出したのは良かったが、どうやら時間がたって忘れてしまったようである。

 元就「ああ、このままだとこちらが形勢不利だ。算多きは勝ち、算少なきは勝たずって孫子兵法にもあるし。」

 エドワード「そうだけどよ、このままこの場所を放棄するっていうのか?」

 アレン「そうですよ!こちらも数で押しきれば勝てるはずです。」

いや、それは違うというのは元就だ。

 元就「いや、一見そう思えるけど、それは違うよ。士気、形勢、それに、実質的兵力は向こうのほうが上だ。彼は恐らく、兵幾万に匹敵するような男だ。ここは、素直に退いて、態勢を整えてから奪還することを心がけよう。」

その言葉を聞いたエドワードたちは、気持ちを抑えつつ、大人しく退くことを選択した。

 エドワード「…くそっ、仕方ねぇ。アルも重症だ、ここは退散するしかねえってことか。」

 アレン「くっ、仕方ありません。ここは僕たちも退きましょう。悔しいですが、ここを立ち去るしかないようです。」

 神田「くっ、残念だがそういうことらしいな。だが、ここを取られるということは世界が危機的状況に陥るということだぞ!」

 リナリー「そうね。でも、もしかしたらここを取り返すチャンスが巡ってくるかもしれないわ。今は、再起を図る方法を考えましょう」

こうして、彼らは勇気ある撤退を選ぶことにした。しかし、問題はここからであった。そう、兵を撤退させる時に大事なことは、殿【しんがり】を誰にするのかということだ。

 エド「よし、そうしよう…ってちょっと待った。なぁ、あいつから逃れる方法ってどうしたらいいと思う?だれか足止めしないと逃げきれねぇぞ!」

その通り。あいては化け物じみた身体能力をしている。しかも、士気が高い相手から逃げるのは至難の技である。だが、解決策は意外と身近なところにあった。