異世界侵攻録 ルガール・バーンシュタイン8

 アル「僕と兄さんが殿を務めるってのはどう?」

声の主は、アルフォンスだ。先ほど壁に押しつぶされた彼だが、体を覆っている鎧を錬金術で直しているのか、目立った傷はないようだ。

 エド「アル!傷は大丈夫か?」

 アル「うん。打ち所がよかったみたいで、そんなに大きなダメージは負ってないみたい。でも、正直驚いたよ。この体じゃなかったらどうなっていただろうね。」

  

その台詞の真意を、特にエクソシストの面々は理解することができなかっただろう。この後、彼らもこの言葉の真意を知ることになるのだが。そんなことは関係なく、話は続いていく。兎にも角にも、エドワードは自分の弟が無事であることを素直に喜んだ。

 エドワード「ああ、本当に良かった。心臓飛び出るかと思ったぜ。」

そんなエルリック兄弟を見た神田は

 「へぇ、そんな体してるだけあって、中々丈夫みてぇだな。」と呟いたが、その言葉は誰にも聞こえることは無かった。そして、話はこのまま撤退戦の話へと移行する。

 エドワード「…でさ、アル。殿を俺たちがやるってどういうことだ?」

 アル「そりゃあ、僕たちだったら錬金術で色々できるし、相手を足止めするなら僕たちが一番いいんじゃないかって思ったからだよ。」

エドワードは、アルフォンスの話を聞いて納得した。確かに、安全に撤退するには、遠距離攻撃が出来、防御もできる自分たちが一番であるのは間違いない事実だろう。

 エド「確かに、俺たちの中で近遠両方攻撃できるのは俺たちくらいだ。…そうと決まれば、すぐにでも撤退する覚悟が必要だけど…。」

エルリック兄弟は、皆を見渡した後、ルガールに対して遠距離攻撃でけん制を始めた。そして、元就たちも、彼らの攻撃に追随して撤退行動を開始した。