第一章 さまよえる者たち3

 王ドラとキッドは固まって動けない。ただ、目の前に駆け抜けていった光の衝撃波に驚愕するのみである。

王ドラ「あ…これは次官さん。ご機嫌麗しゅう…。」

キッド「はは、いや~これからどら焼きに何をかけようかな~なんて話をしてたんですけど。ど、どうです?良ければ何かかけて食べませ…」

山本「どぅあ~れがどら焼きにラー油やマスタードをぶっかけるかああぁぁぁぁいい!喧嘩両成敗じゃぁぁぁあああ!」

 私は二人に対し、上級火炎呪文、『ファイガ』をぶっ放す。辺りは轟音につつまれ、辺りは真っ赤燃え上がる。

にこうして、今日もけたたましい時空省の一日が幕を開けることとなる。

王ドラ「ああ、ひどい目にあいましたよ。そもそもあなたがあんなことを言わなければこんなことにならなくて済んだはずです!」

キッド「いや、お前があんなこと言わなければそもそもこんなことにはなぁ…」

 私は超能力うを用い、両手で水の渦を作る。そして二人に対して威圧的に話す。

山本「おめぇら、俺の『ダイダルウェイブでぶっ壊れたくなきゃあおとなしくしてるんだな。」

二人「ひいいぃぃい~」

 私が繰り出そうとしているダイダルウェイブとは、水のないところでも洪水を起こすことができる、水を使う魔術としては最高峰クラスの技だ。それくらい、わたしは二人に対して『覚悟せい!』という気持ちで臨んでいるのだ。とはいえ、威圧的に構えるわたしにびびる二人を前に、さすがに思いとどまる。私は技を使用することをやめ、二人を許してあげることにした。

山本「まったく、せっかくなら、両方やってみりゃいいじゃねぇか! 結構うまいと思うぞ、両方とも。それに…」

二人「それに?」

山本「俺だって、餡子の代わりに『納豆』を入れて食う!」

二人「なっ、なんですとー!!!!」

辺りに不思議な空気が漂う。何かおかしなことを言ったかな、私?

王ドラ(いやっ、納豆ってそれはどうなんですかねぇ?)

キッド(それは、おれもないと思うわ。)

と囁く二人。そんな三人のほかにも誰かいるようだ…