第一章 さまよえる者たち 13

 その話をきいたとき、私は氷つく程の思いをした。まさか、おそらく様々な【平行世界】を含めても瞳術の最高峰とされている【輪廻眼】を持つ者が敵にいるというのだ。そんなことを知らぬ者たちは、よくわからないといった顔をしている。

 良響「そんなに驚く程なのか?その何チャラ眼っつうのは?」

 元就「いやぁ、それは驚くしかないよ!まさか、この世で最も崇拝される目をもつものが現れるなんて!」

突如謎のハイテンションになる元就局長にいたほかの面々は驚いた。

 エルザ「うお!いきなり大きな声を上げたのは一体だれだ?」

 元就「いや~ごめんごめん。驚かせてしまって申し訳ない。私は歴史室室長の毛利元就、よろしくお願いするよ。」

先ほどからこっそり聞いていた三人のうちの一人、おそらく時空省で働く人の中でも年長クラスである彼は、まるで子供のように歓喜の声を上げる。どうやら、学者肌である彼のなにかしらスイッチが入ったようだ。

元就「しかし、伝説の【輪廻眼】が存在することがわかっただけでも本当にすごいことなんだ!」

 そのテンションについていけず、きょとんとする周りのことなど関係なしに饒舌に語り続ける元就室長。さぞ周りから奇異に思われたに違いない。ゾロは室長に対し、

 ゾロ「爺さん、少し落ち着いたほうがいいんじゃねぇか?しゃべりすぎると体に障るぜ?」

 と気遣いを見せてはくれたが、ほかは呆気にとられていた。

 仕方がない。私が話しの続きをするほかない様だ。私は彼らに対し、軽く咳払いをした後、【輪廻眼】とは何か、ということを説明することにした。

 山本「…コホン。輪廻眼というのは、【三大瞳術】と呼ばれるものの一つさ。君たちが暮らしていた世界のほかにも平行世界はたくさんあるんだけど、ある世界には、特に強力な瞳術が三つあるといわれているんだ。」

 良牙「へぇ。【瞳術】ね。でもよ、たかが目の力がそんなにすごいのか?」

 エルザ「あぁ、私は実際に見たが…何か底知れない力を感じ取ることは私にもできた。あの力はいったい何なのかを教えてもらえないだろうか?」 

 銀時「そうそう、俺もよくわっかんねぇからそいつについて教えてくんねぇかな?」

 と、皆非常に興味を持ったようなので、私は簡単に説明する。

 山本「そうだね…。伝説が正しければ、【世界を創造する】ことができる力を持っているということさ。時空省の調査では、輪廻眼はあらゆる世界の瞳術を含め、最高の力を持つといわれているんだ。」

 その言葉に当然周りは驚愕する。そんな力を持つものがこの世界にいる!信じられないことだが事実だ。その言葉にエルザは何か思い出したようだ。

 エルザ「そういえば… やつも似たようなことを言っていたな。」

 彼女は【あの時】のことを思い出す。あの時、三人が何を言っていたのかを思い出したようだ。