時空省外伝!辻谷広行の休暇5
ハーメルは再び口を開く。今度は少しばかり強い口調で話し始める。
ハーメル「俺は、この世界のようにするため、そして人を守るために仲間のもとに帰らなくてはならない。【魔王】との決着をつけるためにも…。」
このハーメルという青年は、仲間と共に【魔王】を倒すため旅を続けていた。しかし、時空乱流により、今はこちらの世界にいるというわけがある。その言葉を聞いたスコールも彼の言葉に自分の過去を思い出す。彼もかつて、世界を破壊しようとした魔女【アルティミシア】を倒すために、仲間と戦った経験がある。そのことを思い出しながら道場に向かっていく。
坂の頂上付近になってくると、少し雑木林のようになっている。このような地形になったのは50年ほど前だそうで、【西暦2450年ごろという意味である。】道場もそのころ作られたそうだ。 その坂の頂上付近に差し掛かると、辻谷がなぜか坂の道のわきで水たまりを見つめている。
ハーメル「どうした?そんなもの見つめて?」
スコール「確かに、何をしているのですか、辻谷さん。
辻谷「おお、君か。集中して気づかなかったよ。いや何、少し【アメンボ】を観察していたんだ。」
水たまりには、確かにアメンボがいる。三匹いるようだ。すいすい元気よく水たまりの上を泳いでいる。
辻谷「さて、もうそろそろ行くか。道場の皆が待っているからな。」
そうして、三人は一緒に坂を上り始める。辻谷は久しぶりに昆虫観察ができて上機嫌のようだ。
スコール【本当に好きなんだな、虫を見るのが。昔はよく虫取り網を持って走り回っていたらしいが、そのころと変わっていないんだろうな。】
そんなことを考えているうちに、ついに道場に到着する。すると、子供たちが辻谷広行向けて駆け寄ってくる。
子供A「ヒィ”ロ”ク”ン”タ”ア”ア”ァ”ァ”ア”ア”」
子供B「ヒロクーン!!!!!!!!!」
元気【すぎる】声で三人はあっという間に小学生以下の子供20人に取り囲まれ、身動きがまったく取れなくなる。辻谷は、そんな子供たちを見てうれしそうな表情をしている。