時空省外伝 辻谷広行の休暇 12

 司馬懿「それはそうと…そこにいるお前はいったい何だ?」

司馬懿の視線の先は、今だに白装束のままで立っているハーメルがいた。先ほどの格好に加え、水晶玉をもち、頭の横にろうそくまで立てている。

 ハーメル「いやっ、魔よけのためにですよ魔よけの。」

 司馬懿「何か腫物とか幽霊を避けるような恰好しているのだ貴様は!」

まくし立てるように突っ込む司馬懿に、何のそのと言わんばかりの態度を見せるハーメル。二人の会話は次第にエスカレートしていく。

 ハーメル「いや、だってあなた方いっつもここで何してんの!なんかうおおおおおおとかドゥエとかキタキタとか聞こえるんっすけど!!」

 ユリウス「すまん…ドゥエは私だ!」

なぜが自信満々に答えるユリウス。その言葉にハーメルは激しく突っ込みを入れ始める。

 ハーメル「なんであんたそんな自信満々なの!!そこはもう少ししょげなくちゃならんでしょ!!っつうかあんたら全員やかましいんだよ!もはや騒音公害だぞ!」

 

 非常にやかましい会話が続き、終わりが見えなくなる。その会話に終止符を打ったのが、司馬仲達の鶴の一声であった。

 司馬懿「馬鹿めが!!少しは落ち着かんか!!」

ようやくその声で辺りは静かになる。さすがは歴史にその名を残す軍師【司馬仲達】。ひとのコントロールはよく馴れている。

 司馬懿「全く、落ち着きのない連中だ。折角この頭を使えそうな暇つぶしを見つけたというのに。今日はお前たちに協力してやろうというのだ。その前に喧嘩をしてどうする!! それに、私が来るというのにお前たちは私のことを忘れていただろう!!!」

 その言葉に辻谷は協会のメンバーのほうを向き「そうなのか?」と問いかける。

 一反木綿「いや~、申し訳なか、確かにおまはんのことをすっかり忘れとったバイ。」

司馬懿はあきれ顔で「やはりそうか」といったような顔をする。そうして、頭を冷やすために懐から黒い色をした【羽扇】を取り出す。

 司馬懿「これでは先が思いやられる。私抜きで勝手に会合を始めるわ、私のことを忘れるわ…。まぁよかろう。お前たちは一応戦力になる。私に指示に従ってしっかり働いてもらおう。」

 落ち着きを取り戻した彼は、さっそくここに集まったメンバーと共に会合を始めた。