時空省外伝 辻谷広行の休暇 18

 師範「むぅ…、あのようなところに巨大な鎧が待ち構えているとは…。」

 雷電「うむ、あのような巨大な鎧を着た戦士など、今まで見たことは無い…」

師範と雷電の目の前には、あたかもそびえたつ山脈のごとく、二体の鎧の騎士がそびえたつ。しばらくすると雷電は、その鎧を見るや否や何かを思い出したかのように、考え込む。

 雷電「うむ…、あの巨大な鎧の騎士… もしや!西洋に古より伝わる【府亜以那留我亜怒】〔ファイナルガード!!〕」

 師範「むっ!知っておるのか雷電!!」

雷電はおのれの知識にある記憶にたどり着き、師範のほうを向いて「うむ」と確信の返事をする。


【府亜以那留我亜怒】

西洋の伝説である。かつてとある国に、王に忠誠を尽くしたとある騎士がいた。その国は、味方1000の兵士に対し、敵国5万の兵士に囲まれ、まさに滅びようとしていた。だが、その騎士は美しい自分の国を守るため、そして、どのような時でも温かく自分に接してくれた王に対して報いるために八面六臂の活躍を見せた。しかし、一人ではもはや勝ち目はなく、その騎士は死の間際のところまできた。だが、その男はあきらめなかった。騎士は、国を守るため、悪魔に魂を売り、強大な力を得たのだ。国を奪おうとした敵に対し、怒りの力をすべてぶつけ、奇跡的に勝利を勝ち得た。しかし、代償は大きく、巨大な大鎧と化した騎士は、ひっそりと国を去る。それ以後も、彼は人里離れた森の中で敵国から国を守り続けたという。

民明書房刊 西洋の伝奇 第6集より。


 師範「そうか…、そのような話が…ん、少し待て。ならば何故二体いるのだ。話では一人ではないか?」

 素朴な疑問を雷電にぶつける。しかし、博識の雷電はファイナルガードの正体にすぐさま気づく。

 雷電「うむ、それについては、あの【ギャイボン】とかいう怪物の足元を見ればよい。

その言葉通り、師範はギャイボンの足元を見つめる。すると、何やら術式のようなものが書かれてある。

 雷電「おそらくは、幻影であろう。だがしかし、あの術式はその幻影をこの世の者のように映し出して居る。」

 師範「すなわち、実態感があるということか。」

 雷電「うむ、その通り。故に、幻影とは言え、気を付けていきなされ。」

師範は、「うむ、心得た」というなり、敵陣に駆け込もうとする。しかし、一人の熱血漢が「ツ”ァ”ア”」と叫びながらやってきた。

 リヒター「まてい!!私も加わろう。そうすれば、三対三になる。師範は【ギャイボン】を、我々はファイナルガードを叩く。」