二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】3

 アルク「えぇと…その…、あの…」

かなり生真面目そうな雰囲気を漂わせる有角に少し困惑するアルクェイドは、話しかけづらいと思ってしまったのか、なんといえばよいか少し悩んでしまう。

 有角「大丈夫…、そう固くならなくても構いません…。昔からよく気難しそうといわれてますので、馴れていますよ。」

有角は、少し無口そうな雰囲気を持っているものの、お辞儀をして口を開くと、やさしく丁寧な口調で包み込むように話す。これでアルクェイドは、彼がどのような人物か感じ取ることができたのか、緊張を解くことができた。

 アルク「【あら、結構やさしそうな人ね。】あら、私ったら、すっかり固くなっちゃって。」

 志貴「おやおや、アルクェイドが固くなるなんて、珍しいこともあるもんだな。…とはいえ、僕もカチカチになったから人のことは一切言えないけどね…。」

有角は、そんな二人を見て微笑みを浮かべる。だが、すぐさま元の凛々しい顔つきに戻り、二人に話し始めた。

 有角「ところで、先ほど【ベルモンド一族】のお話をされていたようですが、ご存じなのですか?」

アルクェイドはそのことについて話をしようとする前に、

 アルク【おっと!自分の正体をばらすようなことをしちゃ駄目だから上手にごまかさなくちゃねぇ~。ほら!この国には【嘘も方便】って言葉もあるし。】と思い、話し始める。

 アルク「えぇ、少し興味を持っていまして、彼らが活躍していたころの物語を調べていたんです。そうしたら、偶然この本を見つけて、読んで見ようと思って。」

 有角「…成程、最近では、彼らが活躍していたころの話が、最近日本でも語り継がれているとは聞いていましたが…。」

有角は、少しの間だが、下を向いて考えるそぶりをする。アルクェイドは、そんな彼を見てこういう風に感じた。まるで過去を思い出しているような感じであると。

 アルク【どうしたのかしら…、一瞬何かを考えているようにみえたけど。】

有角はすぐに正面二人を見つめた後、すぐに貞操を整える。

 有角「これは…、失礼いたしました。少々考え込んでしまったようだ…。あまり気にしないでください。最近、仕事が忙しいもので、ついそのことを考えてしまうのです。」

 彼女たちはその言葉を聞いて、やはりそうなのかと感じる。普通の青年がスーツ姿で街を徘徊することはまずないと分かっていたからだ。