二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】2

 そこで彼女が見つけたのが、この小説【悪魔城ドラキュラX 血の輪廻】だ。珍しく集中するアルクェイド。どうやら、話の内容を結構気に入ったらしい。

 アルク「ふぅん。この【ベルモンド一族】って、名前だけは聞いたことはあったけど、結構すごいのね。でもっ!【志貴】のほうが絶対カッコいいと思うけど。」

 

そんなことを考えていると、どうやら【偶然】ではあるが、その【志貴】と呼ばれる少年が図書館で彼女を見つける。

 志貴「ふぅ~ん。何読んでんだ?アルクェイド

彼は、いったいどのような本を読んでいるのか、興味津々でアルクェイドを上から覗き込む。

 アルク「あっ!志貴!あなたもここに来たのね!」

 志貴「あぁ、たまにはこんな所もいいかなぁと思ってな。…ふぅん、【ドラキュラ伯爵】か…。どうしてこの本を?」

話しかけられた彼女が今、見開いているページは正に【ドラキュラ伯爵】と戦う主人公、【リヒター・ベルモンド】の挿絵が書かれているところだ。

 アルク「ちょっと気になってね。見つけたのはホント偶然なの。私が眠っている間にこんなすごい人が【実際】にいたなんて考えてると、なんだか読みたくなっちゃって。」

その言葉に、志貴は疑問符を浮かべた顔をする。本当に【リヒター】とかいう人が存在したというところで少し引っかかったからだ。

 志貴「ん?ちょっと待って!これって小説の中のはなしだろ!」

驚く反応をする彼に対し、彼女はくすっと笑う。そうして、彼女は彼のほうをみて解説を始める。 

 アルク「それがね、ほんっっとにいたのよ!この物語の主人公【リヒター・ベルモンド】は、かの有名なヴァンパイアハンター【ベルモンド一族】の一人なの。多分だけど、ドラキュラ伯爵に唯一勝つことのできるの血を引いた一族の一人で、現在は【ユリウス・ベルモンド】という人が継いでいるって話ね。」

 

 志貴「へぇ~、そんな話聞いたこともないな。だってほら、死徒27人には【ドラキュラ】の名前がないから、空想上の物だと思っていたよ。それに、そんな一族が何百年にわたって彼を追い続けているなんて…」

 ?「その話は、真実だ…、疑いようのないな…」

突如、アルクェイドの座っていた席の隣にいた青年が、志貴の口を挟むように話しかけてきた。志貴は、突如現れたその青年のほうを振り向く。青年は、スーツを着ており、かなりの美形である。肌は白く、アルクェイドよりよっぽど吸血鬼にみえるほどだ。

 志貴「あなたは…。」

青年は軽くお辞儀をしたのち、ただ一言「…【有角幻夜】だ」とのみ応える。