二章 導入 Drăculea Vlad Ţepeş【ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ】12

 マダラ「その顔を見る限り、準備は整ったようだな…。」

マダラはふと城の外をみる。そこに見えるのは大きな湖と、あたりに広がる雄大な山々、そして、不気味に赤く光る月だ。普段なら美しい山々も赤く染まり、まさに不気味としか言いようのない恐ろしい光景と化している。

 マダラ「さて、ここでお嬢さん、この光景を見てどう思うかな?」

その言葉を聞いて、なぜだかわからないが動揺してしまうプロセルビナは少しあたふたしてしまう。

 プロセルビナ「いっ、いったいなんですか!突然こちらに声をかけるなんてどうしたというのですか!」

 マダラ「いや、君の素直な感想を聞かせてほしいだけだ。妖怪としての君の素直な感想が聞きたい。」

彼の真意はよくわからないものの、彼女は彼の言う通り素直な感想を返す。

 プロセルビナ「そうですね…。何かすごいことが起こりそうな気がします。たとえば、伯爵様の願いが叶うとか…。人間なら、逆に【何か不気味なことが起こるぞ!】とかいうんでしょうけど」

その言葉を聞いてマダラは【そうか…一応正解だ】と心の中に感じた。

 マダラ「成程、君はそう思うか。だが、俺はこう思うのだ。【俺の望みが叶う】とな…」

プロセルビナはその言葉を聞き、この人は何を考えているのかよく分からないという感想を抱く。彼も妖怪か何かの類なのだろうかという答えが帰ってきたからだ。

 プロセルビナ「ふ~ん。あなたは他の人間とは違う答えをするのね…。もしかして、あなたは妖怪なの?」

その言葉を聞き、マダラは不気味な笑みを仮面の下で浮かべ出す。

 マダラ「まぁ、もう100を超えているからな、もう人とは言えんかもしれん。だが、やはり俺は人間だ、もうかつてほどの力はないがな…。」

そういうと、マダラは壁にもたれかかるのをやめ、死神とプロセルビナの前に歩き出す。どうやら、彼はここを去らなければならない時間になったようだ。

 マダラ「さて、そろそろ出るか…。時空間移動ができる地点へ移動しなくてはならない時間だ。」

 DETH「おぉ、左様ですか。それでは、向かいのものを遣りましょう。」

その誘いにマダラは断りを入れる。

 マダラ「いや、構わん。それよりも…」

彼は、おのれの力である【瞳術・写輪眼】を発動させる。

【写輪眼】とは、うちは一族が持っている能力である。その能力は、相手に幻術を見せることができ、あらゆる技を写し取ることができる。この力を使い、マダラはいま、二人にある光景を見せているのだ。

 プロセルビナ「なっなんですかこれ!まるでいくつものスクリーンが目の前に広がっているみたい…」

 DETH「ほう…これはこれは。成程、あなたが見せているものは…」

彼らが見ているのは、スクリーンに映し出された数多の世界。そして、その世界で活躍している者たちである。

 マダラ「そう、これはすべて【我々と対峙する者たちだ…。】」