第二章 前日12
王ドラ『さて、敵は武器と拳法使いですか…。特に、あのユダという人は要注意ですね。』
ユダ『フッ、いくらあがこうが、【妖星】の前では子供同然。すぐに始末してくれよう。』
こうして各々様子をうかがい、緊迫した時間が流れ続ける。その筈であった。
ノイトラ『たくよ!!なんでこんなに静かなんだよ!なんでテメェらやりあわねぇ!』
均衡を破ったのは血気にはやった【ノイトラ】だった。出方を見ていた敵味方を
無視し、ただ強いやつと戦いたいという本能が彼を突き動かしたのだ。
ノイトラ「そんなチンタラ考えてるなんてのは俺の性に合わねぇ!山本とやら!俺と勝負しやがれ!」
彼は、私の前方にいる二人を飛び越え巨大な鎌で私に斬りかかってきた。
良牙「何!いきなり斬りかかってきただと!」
王ドラ「山本さん!!」
後ろを振り返る二人に対し、私は大声で
山本「振り返るな!前を見ろ!ユダがとびかかってきたぞ!」
と叫ぶ。だが、ユダはすでに二人の間合いに入りこんでいた。良牙は背中にからっている鉄傘を、王ドラはヌンチャクを取り出し、応戦しようとする。
ついに、敵味方全員戦闘態勢に入ることとなった。数という点では、こちらのほうが圧倒的に上である。しかし、敵のほうがはるか優秀なにコマをそろえてきている。このじてんでいえることはそれだけであった。
一方で、その戦いの様子を、高層建築物へ移動した【神楽】【ロード】【ゼツ】は、これから一体どういう展開になるかを語り合っていた。
ロード「ねぇねぇ、ついに始まったみたいだけど、いったいどういった展開になると思う?」
黒ゼツ「ソウダナ。我々ノホウガ数ノ上デハ少ナイ。シカシ、マダラトソノ協力者デアルアノ女博士ガ選ンダ精鋭タチダ。コチラモ簡単ニハ負ケン。」
白ゼツ「それに、これはあくまでも【模擬戦】だし、ある程度戦ってもらった後は、各々計画のために動いてもらうことになるけどね。」
そんな二人 【といってもよいかどうかは分からないが】はどういった戦いになるかをじっと見つめている。一方で、神楽は何故かわからないが、つまらなさそうである。
神楽『はぁ、なんだか気が乗らないね。【奈落】に命令されるのもつまらないけど、あの不気味な目をした仮面野郎も気にくわないね。あの仮面の男が言っていたことが本当かどうかは私は知らないけど、もしそれが現実に出来るというのなら、手伝っても構わないけどね。』
そう心の中で考えているさなか、何もない空間から空間を曲げ、仮面の男【うちはマダラ】が現れた。どうやら、誰かを連れて来たようである。
?「ほう、ここがそうか。なかなか盛り上がっているじゃあねぇか?」
現れたのは、コートを羽織り、鼻の上に傷のついた大柄な男だ。
マダラ「どうやら気にいって貰えたようだ、サー・クロコダイル。よければ、あの中へあなたを招待することもできるが?」
クロコダイルと呼ばれたその男は、下界の様子をただじっと見つめているだけで動こうとはしなかった。