第三章 黒い剣士11

 あれからかれこれ1時間は過ぎただろうか。アタランテと別れたガッツは、目の前にいる怪物たちを相手にしながら、術者を捜索していた。だが、出てくるのは無数の怪物のみだ。

 ガッツ「へっ、いくら雑魚をぶった斬ってもなんにもねぇ!今日こそは安らぎの日々が、なんてらしくねぇことを考えていた自分が馬鹿らしくなるな。」

いつまでこの不毛さは続くのであろうか?この理不尽はいつまで続くのか?その答えは誰も教えてはくれない。

その上、気づくと、先ほどまで共に戦っていた皆から相当距離が離れてしまったようである。常人であれば、間違い無く、孤独に耐えきれず発狂するであろう。しかし、彼はこの凄惨な光景よりもさらに凄絶な世界で生きてきた。寧ろ、いつもの日常に戻ったような感覚を抱くほどだ。

 

 ?『さて、どうやら止めることはできなかったか…。果たして、冥界からよみがえった、今は【スリーハウンドレッドオーダー】と呼ばれているわしにできることはただ導くのみ。』

その彼を見つめる一人の人物がいた。彼の狂戦士としての力をみたこの男は、己の素性を明かせぬため、ただ導くのみだ。

 ?「聞こえるか、青年。わしの声が?」

ガッツは脳内で何者かが語りかけるのを感じた。始め、彼は敵の声だととっさに思い

 ガッツ「誰だ!俺の頭ん中に語りかけてくる奴は!」

 300OD「慌てるな、敵ではない。今は名乗れぬが、この状況を何とかしたいであろう。まずは、お主をとある場所に連れていくとしよう。【口寄せの術!】」

彼は、始め一体何が起きたか理解できなかったが、まず把握したことは目の前に巨大な黒い穴が空間にバッサリ開いているということだ。

 ガッツ「…へぇ。何故だかわからんが、俺も物わかりがよくなったもんだ。」

黒い穴を見たガッツは、この世界に招かれた時のことを思い出す。そう、あの時もそうだった。これが原因ですべてが始まったのだ。要するに、

 ガッツ「穴の向こうだな?見えない誰かさんよ?」

 300OD「…どうやら、中々物わかりがいいようだな。これがすべての原因だ。この怪物を操っているのはあの向こうにおる。」 

 ガッツ「そうかい。だがよ、なんであんた俺を助けてくれるんだ、なんて言いたいところだが、ここは聞かないでおく。さっさとこの地獄を終わらせてゆっくりしたいんでね。」

 300OD「そうか、すまぬな。すまぬが、最後にもう一つだけわしのことを聞いてはくれぬか?」