第4章 異世界侵攻録 2

一方、ルガールは大砲が教団の建物に直撃したことを確認するや否や、断崖絶壁を軽く飛び越えるように上り、その場所にたどり着いた。

この世界の元々の歴史では、黒の教団は、彼と協定を結んだ【千年伯爵】と呼ばれている、この世界を滅ぼそうとする謎の人物とその仲間のみで襲撃するというものだった。しかし、その歴史は大きく崩れることとなる。黒の教団に現れたのは、異世界からやってきた男、ルガールである。そもそも、彼がここを襲撃する理由は二つある。一つは、この世界における【エクソシスト】と呼ばれる存在が、後々脅威となるために排除してほしいとゼーナに頼まれたからというもの。もう一つは、彼の趣味である、自分が戦いを挑み、勝利した相手の銅像を又作りたくなったというものであった。

 

この世界のエクソシストは、千年伯爵が作り出した兵器【AKUMA】を撃退するために存在する。これを撃退するためには、イノセンスと呼ばれる装備の適合者がなるが、いずれもなかなかの戦闘力を誇ると聞いたルガールは、率先して作戦に参加することにした。

 ルガール「さて、たどり着いたのはいいが、果たして私を喜ばせることのできる猛者はいるかどうか、非常に楽しみだ。」

彼がたどり着いた時、教団の中は未だに混乱の真っただ中だった。砲撃は、どうやら食堂に直撃したようだ。丁度夕時、ここで食事をとっていた人も多かっただろう。この砲撃で、何人かは犠牲になったようだが、教団の建物の破損具合から考えると、少ない方であるかもしれない。それでも、敵方に恐怖を与えることができたことは、ルガールにとって一番の成果だった。

 ルガール「しかし、様子を見る限り、ほとんどは蠅にしか過ぎんようだ。恐怖にただ羽をふるわせるようにやかましいやつしかいないのかね?」

混乱に紛れ込むルガールは、逃げ惑う教団の人間を片っ端から襲い始めた。その光景は、まさにジェノサイド【殺戮】としか言いようがない、まさに阿鼻叫喚の地獄そのものであった。身長197センチ、体重は100キロを超えるある彼の巨躯に勝てるものはいなかった。だが、そんな怪物に挑む一人の少年が現れた。

 ?「こ、これは一体?まさか、先ほどの爆発もあのタキシードを着た人がやったというのか。」

 この惨状を見たエクソシストの少年、アレン・ウォーカは、数メートル先にいる巨人、ルガールを見て言葉を失った。