異世界侵攻録15

 しかし、物語は動きだす。少し時間を遡るとしよう。彼らがいる所は、教会の地下部分にあたるのだが、そこへ向かう足音が上から聞こ来た。そして、段々近づいてくるそれに合わせて、話し声も聞こえてくる。アレンには、その声に聞き覚えがあった。先ほど登場したエクソシストの三人である。

 神田「とりあえず、上は大丈夫だったが、地下も特に問題はないようだな。」

 ラビ「どうやら、そうなんさ。…ん、あそこに誰かがいるみたいさ。」

その瞬間、その空間に響きわたる轟音に三人は思わず身を引いた。

 リナリー「なっ、何今の音?」

 神田「どうやら、下でとんでもない馬鹿野郎が騒いでいるらしいな。」

 ラビ「だな。ここは、気をつけながら慎重に行くさ。…おっと、もしかしたら、音の原因はすぐ近くみたいさ。」

そして、その光景を三人は見た。彼らが見たのは15歳の少年と48の壮年期の男だ。彼らは、自分たちの姿が見えないように、通路の壁に体を隠し、エドワードとルガールの短いながらもその戦いを見つめていた。

 リナリー「なんなのあの二人!もしかして、彼らがこの事件を起こしたというの?」

この戦いで、地下のフロア一角が見るも無残な形となっていた。

 神田「どうやら、そうらしいな。ただ、さっきのやり取りを聞いている限りでは、あのタキシードをきたオッサンが主犯で、あのちびすけは止めに来たといったところだろう。」

 ラビ「ん~、ということは、あのおっさんを何とかすればいいってことだな。」

 リナリー「でも、あの人達は一体何者なのかしら?」

 神田「さぁな。分からんことばかりだ。ただ、このままあいつを野放しにするのは教団にとって癌だってことは間違いない。」

 リナリー「そうね…。でも、教会にいエクソシストは私たちとアレン君だけだし。何とかして彼と連絡を取れないかしら?」

一方で、アレンとエドワードたちは、ルガールを挟んで神田達が反対側の通路にいるということを知らないままこれからどうするか思案を巡らせていた。

 銀時「ああ~このままあのおっさんがどっか行ってくれねぇかな~。」

 アレン「真面目に考えてください!元はといえば突然現れたのはいいのに全く役に立って無いのあなただけですから。」

 エド「ん、アレンの言う通り!大人がしっかりしてくれねぇと、俺たちみたいな子供がどうすればいいか分かんねぇじゃねぇか!」

結局、再び言いあいになってしまっているようだ。そんなことを話している所に、アレンの近くに彼の使い魔【ティム・キャンピー】が何かを知らせに来たようだ。 

 アレン「ん?あれは。ティムキャンピーィ~どこにいたんだ、全くもう。…何、神田達が近くにいる!もしかしたら、挟み撃ちができるかも入れないって。」

 銀時「ん?その神田ってのはもしかしてあんたのお仲間さんか?」

銀時は、素朴な疑問をアレンに投げかける。アレンは、その言葉にその通りというリアクションをすぐさまとった。