異世界侵攻録16

 アレン「はい。いまは丁度ルガールがいる所の反対側にいるようです。タイミングを取れればもしかしたら挟撃できるかもしれません。」

 銀時「そうか。そうすりゃ勝機はあるかもな。…しっかしどうすっかってことだよな?なんかいい方法は…ん?」

銀時は、建物の構造を見て何かに気づいた。もしかしたら行けるかもしれない。そうして、アレン達はティムキャンピーに伝言を託し、その機会を狙うことになった。

 それからほんの数分後。ルガールはもう一度指定の場所を探しては見たものの、やはり例の物は出てこなかった。あの女、本当にここにあると思いこんでいるのかと考えながらも仕方なく立ち去ることにした。その瞬間である。彼の頭上から影が見え、上を見上げるとアレンが飛びかかってきたことが瞬時に理解できた。

 また同じことを。はじめはそう考えたが、少し様子がおかしいのだ。彼から殺気というものを全く感じないのだ。次に現れたのは、エルリック兄弟だ。今度は兄だけでなく、弟も一緒か、下らん等と考えて迎撃態勢をとる。恐らくは、頭上と見せかけて足元だ。長年の経験から導き出された通り、足元から握りこぶしの形をした彫像が錬金術によって作り出されたが、それも驚異的な読みと反射神経でかわす。次はおそらくあの4人のうちの誰かであろう。…だが、それは少し違っていた。何故なら、彼の頭の中に想定していなかった男が現れた。

 銀時「…よう。お宅元気か?」

先ほどとは全く違う雰囲気を醸し出す坂田銀時はルガールのふくらはぎに向けて木刀を繰り出す。なるほど、急所であるアキレス腱を狙ったようだがそこでは意味はない。少し外れたからだ。

…なんだ、見せかけかと銀時を一瞥した後、彼らの思惑にようやく気づき始めた。

 ルガール「ふ、これはしてやられたというわけか…。」

成程、足と見せかけて腕を狙いに来たか。ルガールは腕をリナリーの蹴りによって負傷し、その隙を狙って銀時と神田、ラビの三人による同時攻撃を喰らった。

はるか後方に吹っ飛ぶルガール。そのまま彼は瓦礫の下敷きになり、辺りは再び静寂に包まれた。

 エド「うまくいったぜ…。しかし、影を合図にして攻撃のタイミングをはかるとは、大したもんだぜ。」