異世界侵攻録17

 銀時が先ほど見つめていたのは、先ほどの砲撃によって地下の廊下に開いた穴だった。そこから漏れる光と、その影。そして、地面に転がっている石を見つめ、これは使えると思える方法を考え付いた。

 アル「まさか、日時計の応用を使うなんて。」

 神田「あぁ、意外と思いつかなかったな。おかげで、タイミングがつかめたな。」

つまりはこういうことである。先ほど彼らがいる地点から、先ほどエドワードがルガールと対決したホールがあるのだが、そのホールは、彼らがいた両地点から見えるのだ。そこに丁度光が差し込み、彫像を起点とした日時計が偶然出来上がったのだ。そして、その日時計が、ホールの隅にある柱に日時計によってできた影が到達した瞬間に飛び出す。こうすれば、同時に攻撃することが出来る。

後は、ここに来る前に、あるがくれたアドバイス通りやるだけだ。そのアドバイスをくれた人というのは、日本時空省歴史室長、毛利元就である。

 ?「さてさて、やっと私の顔出しができるというわけだね。まぁ、司馬懿殿と色々考えてやってみたのはいいけれど、何とかうまくいったようだ。」

 今まで裏方にいた元就室長がここで顔を出すこととなった。銀時達に今の今まで指示に徹していた彼は、ようやく表に顔を出すことが出来たようで、少々表情が和らいでいるように見える。

 リナリー「まさか、こんなお爺さんがいろいろ考えていたなんて。」 

 元就「いやいや。銀時君の観察力にもこっちとしては助けられたけどね。おかげさまで、うまく物事を運べたよ。」

 銀時「そんなことを言いなさんなって。こっちのほうが感謝してるぜ。ほんとに、爺さんの言った通りやればうまくいくもんだな。」

そう。今の今まで銀時やエドワードたちがやっていたのは全て元就の指示であった。このことをはじめから知っていたのは、銀時とエルリック兄弟、そして元就公のみである。

時は遡る。あの黒い穴から呑み込まれてからの話だ。

 元就「うっ。まだ胃のあたりが気持悪い…それにしても、ここはどこだろう?どこかの断崖絶壁なのだろうけど…。

あれからどのくらい時がたったのだろうか?分かっていることは只一つ。どうやら25世紀の日本にいた自分たちは、全く違う場所に飛ばされてしまったという事実である。