異世界侵攻録19

 エド「ん?さっきからその辺にいたぜ。爺さんはまだ寝てたみたいだから無理に起こさないようにしてたんだけど。」

その言葉を聞いた元就はそれは気づかいになっているのかなと、ふと頭の中に浮かんだが、すぐにもみ消した。今はとやかく状況判断が大事だ。

 元就「そういえば、さっきの音は何か分かるかい?」

 司馬懿「ああ、調べはついている。しかし、一体どうやってそちらに運んだかは全く分からんような代物から放たれたのだが、よく聞いてほしい。恐らく、かつて20世紀末に闇の武器商人のトップに立っていた2大巨頭のうちの一つ、ルガール・バーンシュタインが所有していた超弩級航空戦艦【ブラックノア】から放たれた砲撃とみて間違い無いだろう。」

 エド「せ、戦艦!?ちょっと待て、その言葉で気になることがあるんだが、今俺たちは何世紀の何処にいるんだ?さっきからあたりを見ても何も見えなくてこまってんだ。」

 司馬懿「ふむ、確かにその辺には何もないからわかるまい。だが、こちらからは時代と場所は特定できている。どうやら、19世紀半ばのイギリスにいるようだ。しかも、お前たちがいままで来たことのない世界線だ。」

 

その言葉を聞いてすぐさま反応したのはアルフォンスだった。

 アル「ああ、やっぱり別世界に飛ばされちゃったっていう解釈でいいのでしょうか。」

 司馬懿「ふむ、さすがに呑み込みが早い。うちの息子どもにもこの理解度を見習ってほしいものだ。その通り、今お前たちは別世界にいる。そして、いきなり敵に遭遇するということになったようだな。」

 元就「どうやらそうらしい。それで、もしかするとだけど、こちらの世界にいるのって私たちだけという解釈でいいのかな?」

その問いに対する司馬懿の返答は、その通りという簡素なものだった。どうやら、離れ離れになってしまったということなのだろう。

 

 司馬懿「だが、安心しろ。そちらには一応助っ人を4人送った。…まぁ、うちの息子どもは良いとして、残りの二人が少し曲者でな、何とか役に立つとは思うのだが…こちらも人員不足で申し訳ない。」

 元就「わかった。それで、その助っ人って誰なのかな?」

 司馬懿「それなのだが…実はもうそこについているのだ。」

その言葉をきいて、三人は後ろを振り返る。するとそこには見覚えがある天然パーマの男と、司馬懿の長男・次男である【司馬師】【司馬昭】。そして、もう一人はヘッドフォンをつけたまま音楽鑑賞をしているのであろう少年がいた。