吉良吉影は、平穏に暮らしたい2

 そんなことをつぶやきながら、彼はノートパソコンの右手に置いてあるコーヒーカップに手をやり、落ち着いた気持ちでゆっくりとコーヒーを飲む。

 吉良「まあ、仕事さえきっちりと終わらせることが出来さえすれば、私は自分の生まれ故郷に戻ることが出来るわけだ。あのギャングのボスからとっとと縁をきって、辛い世間からゆっくり離れ、【植物の心】のような平穏な生活を送れたら…。それ以外、私には必要はない。」

吉良は、コーヒーを飲み終えると、先ほどと同じ場所へコーヒーカップを戻した。

 吉良「どうやら、今日はあの化け物どもは現れないようだ。まぁ、私には関係ない話だ。この世界にいるのはあと2週間、それまでに、私が死ぬなんてことは万に一つもありえん話だ。おっと、そろそろ食パンが焼ける頃合だな。」

彼は、ふとリビングに飾ってある壁掛け式の時計に目をやる。どうやら、丁度オーブントースターで焼いていたパンが出来上がる時間を差しているではないか。それと同時に、チンという音が響きわたる。

 吉良「ん、どうやらきれいに焼けたようだな。いい香りがする。悪くない。では、取り出して早速いただくとしようかな。ん?君も一緒に食べたいのか?そうだね、一緒に食べよう。なんだか、今日は良き一日になりそうだ。」

吉良は、何か独り言のようなものをつぶやきながら、豪華なテーブルで朝食を取り始める。食パン以外にも、サラダや目玉焼きなども置いてあるようだ。吉良は、手をあわせて、今日一日も平穏に暮らせるように祈り、朝食を取り始めた。

 吉良「ふふ、それにしてもうまい食事だ。実にいい。君もそう思わないかい?」

それにしても、この男は一体誰に向かって話しかけているのだろうか?吉良は、笑みを浮かべ、目線をさげたままだ

 吉良「やっぱり、君はそうして【手だけ】のほうが綺麗だ、ふふふ。」

そう、彼がいま話しかけている相手とは【昨日殺害した女性の手】である。

そう、この男は先の話で病院を爆破した張本人である。彼の正体は【スタンド】という能力を持つ殺人鬼。触れたものを爆弾に変えることが出来る能力【キラークィーン】で多くの女性を殺害しては、殺した相手の手だけを持ち帰り、それを自分の愛玩具とする【シリアルキラー】である。

 そして、それから時間が経過した。