異世界侵攻録 呂布奉先の軍師 5

 鬼鮫「なるほど、言いたいことはなんとなく分かりますよ。その兵力を補うために我々が呼ばれたというわけですね。」

 陳宮「そう!その通り。あなた方はかなりの武勇をお持ちであると聞き及んでおります。そこを、そこを見込んでお頼み申し上げます。どうか、どうかこの私めに力をお貸しください。」

陳宮の芝居ががった口調は、ますますヒートアップしていく。彼の言動に少し引き気味になる鬼鮫に対し、イタチは淡々とした態度を崩さぬまま、一言、「構わない」とだけ返した。

 鬼鮫「イタチさん、いいんですか、そんなに簡単な返事で?」

疑問を呈す鬼鮫。しかし、イタチは態度を変えなかった。

 イタチ「リーダーのぺインもぜひ参加してくれと直々に頼まれたからな。断るわけにもいかないだろう。」

 その言葉に対し鬼鮫はにやりとした表情を浮かべた。何故だかは陳宮はよく理解でき無かったが、この男の腹の中は、中々恐ろしいものだということは理解得来た。

 鬼鮫「成程、リーダーの言葉なら仕方ありませんねぇ。ならば、やりたい放題してしまっても構わないですかね?」

 陳宮「はい、どうぞどうぞっと言いたいのですが、大変申し訳ない。七割くらいは自由にやっても構いませぬが、三割ほどは私の命令に従ってもらいたい。よろしいですかな?」

 暁の二人は、あっさりと陳宮の提案を聞くことにした。自分たちはあくまでも客将、その点はわきまえているようである。

 鬼鮫「構いませんよ、前金はしっかり頂いていますし。あくまでも我々は傭兵。」

 イタチ「その点はわきまえている。そちらの指示に従うことに異議はない。どう動けばいい?」

陳宮は、頼りがいのあるオーラを醸し出す二人に感激した。これで、こちらが少しでも有利になることは間違い無い。早速、陳宮は二人に対して指示を始める。

 それから数分後、まずは鬼鮫が動き始めた。高い塀が縦横無尽に張り巡らされている【瀞霊廷】という貴族や重役、そして護廷十三隊が住まうこの地区に彼は【水計】の準備を始めた。