異世界侵攻録 呂布奉先の軍師 4

 一体何事かと、騒ぎを聞いて駆けつけた護廷十三隊所属の隊員たちに、雨あられのごとき矢が降ってくる。しかも、弓矢にはトリカブトの毒を塗ってあり、矢にかするだけでも瀕死状態に、直撃しようものなら、死は免れない。見事、第一の策が成功した陳宮は、内心喜びを隠せないのが本音であった。

 

 陳宮「さてさて、首尾は順調ですな。どうやら、敵の隊長格もまだ留守のよう。更に、弓兵を増やして攻撃いたしましょう。」

それから20分間は、陳宮の指示に的確に応える弓兵の独壇場だった。それからしばらくして、更に二人の援軍が軍師陳宮のもとへ馳せ参じようとしていた。うちはイタチとそのパートナー、干柿鬼鮫である。

 鬼鮫「おやおや、これはまた派手ですねぇ。駆けつけてみれば、もうこちらが有利の状態になっているではありませんか。」

 イタチ「どうやら、我々の出番はなくなるかもしれんな。…詳しくは、あの軍師殿に聞いてみるしかないがな。」

二人は、時空移動装置を使い移動が完了したのち、すぐに軍師陳宮のところへ移動した後、現在の状況を聞いてみることにした。

 

 陳宮「おお、これはこれはおふた方!首をなが~くしてお待ちしておりました!ご覧あれ、今のところ【げりら戦】という方法を用いて神出鬼没の戦いを繰り広げているおかげで、現在は有利の状況になっておりますぞ!」

こちらが聞こうとする前に、向こうから返答してくれた。その陳宮に対し、イタチは

 イタチ「そうか、だが、それでは我々を読んだ意味はあまりないのではないか?」

と返した。

 陳宮「ええ、そうですな。このまま優勢であるならばの話ですが。」

突然、含みを持たせる言い方をする陳宮に、イタチたちは何かあるのだろうと察する。

 鬼鮫「ん?何か含みのあるセリフに表情ですね、陳宮さん。何か問題があるようですねぇ。」

 陳宮「そのとおり、このままでは少々問題がありましてな。今現在、こちらの兵力は2000人程。しかし、相手はおそらく10倍はいるでしょうなぁ。孫子には、10倍の兵力がある場合、戦わず撤退すると書かれるほどの兵力差なのです。そこで!そこであなた方の力を借りなければならぬのです!!」

語気を強めて、芝居ががった口調で二人に語るその様は、あたかも道化のようである。しかし、胡散臭いながらも、どこか説得力のあるのは、彼が優れた軍師であるからだろう。