異世界侵攻録 R&D 5

 ルガール「さて、話を戻そう。そもそも、奇妙なこととは何か?それは、このライフストリームが時間や空間を超えて至るところに散らばって発見されているのだ!そこでだ。我々は各世界に散らばっているこの強大なエネルギーの固まりを集めるために侵攻を開始したのだ!そして、その場所の一つがここ!【仮想19世紀イギリス、黒の教会の本部】地下一階ということが明らかになった。その筈だった。しかし!」

 突如、饒舌だったルガールの口調が荒々しくなり始める。傍らに落ちてきた瓦礫を、右拳で粉砕する。恐らく、直径一メートルはあろうかという塊は、彼の怒りで一瞬のうちに塵となった。

 

 ルガール「実際はどうだ!確かにあの男の言う通り、このあたりを捜索しても何もないではないか!実に遺憾だ!余計な時間を費やしただけではないか!…その上、この協会を破壊できたのは、ほんの一割だけという体たらくを私は見せつけてしまっただけではないか!実に腹立たしい。…しかしだ。収穫がなきにしもあらずだ。君たちがなかなか強かったことだ。時空移動機で君たちをこのばへおびき寄せ、私が倒すという方針を達成できそうだからな。君たちが強かったおかげで、久しぶりに楽しめたよ。あの女科学者の指示通りにすべて終わりそうだ。」

 彼の怒りは、間も無く解消されるだろう。彼の両手に溜まったエネルギーが、カイザーウェイブとなって射出された時、彼にとってはやらねばならぬ一つのことを終わらせることが出来るからだ。

 元就「なるほど、そういうことだったのかっ…て、そんなこと言っている場合ではないね。これは、さすがに年貢の納め時かな?」

 リナリー「もう。お爺さんそんなことを言っている場合じゃないでしょう!でも、そう言わざるを得ない状況になっているわね…。」

彼女の言う通りである。終焉の時はすぐそこまで来ている。しかし、ここでなぜかアレンが声を上げる。

 アレン「ちょっと待ってください、ルガールさん。今先ほど【女科学者】がどうのこうのっておっしゃっていませんでしたか?」

 ルガール「…何?」

どうやら、アレンの言葉にルガールが反応したようだ。先ほどまで力を貯めていた両手を下ろして、アレンのほうをきつく見る。