異世界侵攻録 逃亡と進行 2

 元就「いやあ、何とか逃げ切れたね。しかし、君たちも突然のことで、まだ混乱しているような感じだね。」

 神田「当たり前だ。それでも、ある程度は少しばかり冷静になって考えていた。なんだあの男は!すべてあいつが仕組んだという分けか?」

 リナリー「そうよ!通信を聞いて戻ってきたらまさかあんなことになっているなんて。一体どうしたらいいの?協会はルガールとかいう男に占拠されてしまったし。っと、その前に、あなたたちに言っておかなくてはならないことがあったわね。ありがとうがざいます。あなた方の助けがなければ、もっと大きな被害が出るところだったかもしれません。」

リナリーは、こちらを向くとそのまま居直る。今まで溜まった疲労を感じさせないような、優しい笑みを見せる彼女は、かなりこちらのことを気遣ってくれているのかもしれない。彼女もかなりのけがをしているのに、わざわざそんな素振りを見せてくれるとなんだか申し訳ない気持ちになってくる。

 エド「あ~、お、おう。それは、どういたしまして。…なんか、すまねぇな。こんな目に合わしちまってよ。」

 司馬懿「う、うむ。そうだな。すまなかったな。私の知略でも、ここまでしかできなんだ。」

純粋な目で見つめられることに余りなれてない二人は、少し戸惑いを隠せない様子だ。一方で、素直な性格である別の二人は、言葉の通り純粋に言葉を受け取っているようだ。

 アル「いやいや、こっちもみんながいなかったらどうなっていたかわからないし。」

 葉「そうだねぇ。そういや、おいらは敵を逃しちゃったからあんまり偉そうにいえないか~。」

そんな面々をよそに、一方ではまだ敵が追ってきていないかを確認するために、司馬懿の息子二名はあたりを注視していた。天候は曇り。しかし、雲は分厚く、今にも嵐になりそうなぐらいの突風が吹いている。あまりにも不穏すぎる天候が、より不安を掻き立てる。

 司馬昭「ん~なんか怪しいと思いませんか兄上?あのまま敵さんこちらを逃してくれると思います?」

 司馬師「そうだな、恐らくはおっては来ぬはず。しかし、念のため警戒はしておくべきだろう。