異世界侵攻録 逃亡と進行 3

 だが、その心配は結局のところ杞憂という形で終わることとなる。どうやら、敵はこちらに完全に興味を無くしたようだからだ。そうこうしているうちに、時空移動機の準備が終了し、一旦25世紀へ退避することになった一行は、そのまますぐに移動を開始することになる。

 アレン「…それで、あなたたちははるか未来からこちらに迷い込んだというわけですね?」

 エド「その解釈で間違ってない。一番驚いているのはこっちの方なんだ。なんせ、こんな経験を短期間で2・3回経験するなんてまずないだろ?」

 恐らく、全くない人が世界中の大半であろう。黒の協会の面々はまったく同じ感想を抱いた。今から、彼らもその貴重な経験をすることになる貴重な人類になることは、この時代では間違い無いこととなる。

  

 ラビ「確かに、そういうことになるさ~。早く、俺たちの居場所を取り返すためにも、ここは頑張るしかないさ!」

 神田「そうだな。俺たちだけでも生きていれば、何とか教会を取り戻せる可能性がありそうだからな。だが、お前たちが来た時代に行って本当にメリットがあるのか?」

 司馬昭「まぁ実際にこの目で見てみなって。きっとスゲェもん見られると思うからよ。…っと、どうやら準備完了みたいだな。それじゃ、任せるぜ、時空省の皆さん!」

これで、元就たちは無事に撤退することが出来た。彼らはこれから未来にて対策をとることとなる。時空移動機があった岩場には、ぽつぽつと植物が生えているだけの殺風景な光景に再び戻ることとなった。しかし、これはルガールの予測の範囲内であった。

 ルガール「…さて、脅かしには少し度が過ぎたようだ。久々に暴れまわることが出来たのはこの私にとっては非常に良かったが、あの女科学者は納得してくれはせんだろう。あいつらの目も誤魔化すことが出来た。後は…」

ルガールは、右手に持っている硝子のような容器をまじまじと見つめる。中には、青く輝く美しい色をした、固体とも液体とも言えない不思議な物体が入っているようだ。例えるならば、天に輝くオーロラのような物に見える。

 ルガール「この【ライフストリーム】を持ちかえればいいだけか。うまいことあ奴らを騙して、既に入手していたことを隠すことが出来た。が、果たして、このようなものが果たして本当に役に立つというのか?」

 彼の言う通り、ルガールが先ほどこの場所にはもうライフストリームはこの場所には存在しないというのは真っ赤な嘘である。