異世界侵攻録 逃亡と進行 5

まずは、戦闘開始前まで時間をさかのぼらせる。朽木兄弟の目の前に現れた男は、武器らしい武器を持ち合わせていないようだった。というより、明らかにおかしなところは無い【強いて言うなら、髪型が蟹みたいなところを除いて】ようだ。だが、その男【サーレー】はさも自信ありげな様子で二人の目の前を塞いでいた。

 白夜「それにしても、私たちの前に堂々と立ちはだかるとはいい度胸だ。そこは素直にほめおこう。」

 サーレー「これはどうも。その言葉、素直に受け取っておくぜ。」

堂々としたその様に、白夜の義妹であるルキアは、彼に対して呆れを通り越して驚きの感情を抱いていた。

 ルキア「それにしても、そんな格好で私たちの前に立つとは。」

彼女と同様、白夜もはじめは同じ感想を抱いていた。が、しかし、いくらなんでもおかしくはないだろうかとすぐさま感じ取っていたため、ふとこんなことを問いただした。

 白夜「確かにな。見たところ丸腰のように見えるが、何も考えがなくその場で立っている訳ではあるまい。」

サーレーは、二人に対して余裕ある不敵な笑みを浮かべた。

 サーレー「ま、単にギャングに身をおいて何度も修羅場を潜ってきたから神経図太くなったというのもあるな。だが、確かにあんたの読み通り、こっちもただ突っ立っているわけじゃねぇ。んなら、どんな策を考えているか、教えてやってもいいぜ。」

その言葉にルキアは思わず食って掛かろうとしたが、冷静な白夜は彼女を制止さした後、斬魄刀を切っ先をサーレーのほうに向け、威圧的な口調でサーレーに問い詰める。

 白夜「ほう、ならば教えてもらおうか。私の斬魄刀の餌食になりたくなくばな。」

 サーレー「そうだな、確かにあんたの刀のさびになりたくはねぇ。怖いしななら教えてやろう。ただし…」

突如、何かが地面にめり込む音がし始めた。音のするほうに目をやると、多くの小石が地面にめり込み、煙を上げているではないか!

サーレー「俺の能力が何かを言い当てることが出来たらの話だけどな!」