異世界侵攻録 進展 11

 さて、この老人がどのようにしてこの世界に現れたのかも次章で明らかになるが、いまはそれより、話を進めることとしよう。さて、黒ずくめの老人は、白夜たちと同じようにその人となりを確かめようとしているようだ。

 老人「ふむ、中々いい顔をしているようだな若き兄弟たちよ。ふむ、心の中を少し見させてもらったが、実の兄妹ではないのか。…ほう、面白い境遇だな。実に興味深い。…が、儂の弟子にはなれそうにもないか。

老人は何やらぶつぶつと独り言をし始めた。はじめは一体何のことかは敵味方含め全く理解でき無かったが、次第にそれが何のことであるか次第に分かるようになってくる。

 老人「…成程、亡き妻のためにそうしたか。ふむ、掟を破ってまで大事だったか。ふむ、情け深い。しかし、その情け深さがそなたの命取りにならなければよいの。ひゃひゃひゃひゃ。

その言葉に何故か白夜が反応する。彼は、あの老人が知るはずでないことを口走った途端顔色が急に悪くなった。今この老人は何を言ったのだ?まさか、自分の過去のことを知っているというのか?

 老人「む、どうやら儂が見た通りのようじゃな。そなた、過去にこの世界の法律を二回破ったことがあるそうじゃな。どうやら、禁断の恋をしたようだな。…なるほど、その娘はその恋人の妹か。…ほう、どうやらその娘、一度処刑されかけたことがあるようだな。その時、お主はかなり迷ったようだが掟を守る方を選んだのか。しかし、今でもかなりそのことにおいて後悔しているようだ。…さて、もう少しお主の心の中を探ってみようか?

 その言葉で、遂に何かがはじけてしまったようである。白夜は、マダラたちに飛びかかり、一刀のもとに斬り伏せようとした。だが、そのことを読んでいた、いや、飛びかかるように仕組んだ老人が前に出て、長いローブの袖から何かを取り出し、相手の刀を受け止めた。