5章  プロローグ

 銀河の大戦が終末を迎えてから何億という年月が過ぎた。遥か過去に起こった騒乱のことを知るものなど、だれ一人として存在し得ない時代が到来した。だが、星の災厄といわれたとある者が、太陽系第三惑星【地球】へ現れ、異世界の者と結託し、とある野望の成就のため、再び銀河を混沌せしめるため暗躍を始めたのだ。その者らは、計画を実行するためにこの星の魔術を利用することを決め、日本という国の一地方都市である【冬木】という街にひそかに潜入する。それは、かの騒乱の首謀者と、この国の過去の支配者を復活させるための儀式を行うためである。又、奇妙な事に、21世紀の太陽系から3パーセク離れた場所で巨大な時空乱流が発生していることはだれも知る由はなかった。

 ここは遥か遠い銀河の彼方。突然、それは現れた。爆音と共に空いた空間の穴は、未だ誰にも調査をされないまま放置されていた。今の今までは…。

 そんなことが起こっていることなぞ露も知らないであろう21世紀の地球。日本の地方都市冬木市。ここでは、【聖杯戦争】と呼ばれる魔術儀式が行われた。それは、過去の英雄を呼び出し、あらゆる願いをかなえる【聖杯】という奇跡の産物を手に入れるために行われていた…のも最近のことである。今は、歴史上最後の聖杯戦争となった第5次が終了し、この街にも平和が訪れていた。しかし、とある者たちがその平和を消し去るために暗躍を始めていたことはだれも知らなかった。…この二人を除いては。

 マダラ「さて、ゼーナ博士。ここで本当にいいのだろうな?」

 ゼーナ「ええ、間違い無いわ。ここに間違いなく【大聖杯】と呼ばれるものがあったのだけれど、今は破壊されてそんなものは存在しないは。…まぁ、私が未来の科学と魔術を駆使したこの【疑似聖杯】をここに埋め込めば万事OK。恐らく、カルデアとかいう組織が作り出したものよりも強力なこれを使えば、【英霊】と呼ばれる者たちをうじゃうじゃ呼べるはず。…まぁ、私が呼び出そうとしている人を呼び出すためには、×××と×××を使うしかないのだけれどね。…全く、これを手に入れるのに、私の生きている時代の銀河を探し回ったね。…でも、これで問題ないはずだけど。それで、あなたが最近知りあった【松永】とかいう武将はまだ来ないのかしらね?」