全時空省会議 その2  3

 そんなやり取りをしている間に、会議室内にアナウンスが響きわたる。放送内容は、あと10分ほどで会議が始まるので、会議に参加される方は急いで入室してくださいといった所だ。元就は、あたりを一瞥、いや、二・三瞥ぐらいしながら誰が参加しているのか探していた。かのローマ帝国五賢帝や、近代文明の基礎を作った【二コラ・テスラ】博士。そして、数少ない武闘派の【アレクサンダー大王】やキュリー夫人などの姿も見えた。他にも、ロシア皇帝のピョートル一世や、清帝国皇帝の【康熙帝】の姿も見える。

 元就【いやぁすごいね。治世に評価がある人や、平和に貢献した人が多いね。私みたいに、イレギュラーな人や、隣のお嬢さんみたいな武闘派はあんまりいないね。…まぁ、彼女は子供好きであったから時空石の召還資格があったのかも】

一応、おさらいしておくと、この25世紀の世界では、偶然発見された【時空石】と呼ばれる鉱物が、突然過去の偉人たちを召喚し、世界の発展に尽くしているという背景がある。ここで、元就公が言った【イレギュラー】とは、その前提から外れた偉人たちのことである。元就公もその一人。何者かによって、日本の戦国時代と、中国の三国時代が融合させられたというとんでもないところの出身である。現在その世界は、両時代の人達は独自の文化を築いており、いろんなことを経てこの25世紀の世界と交易している。この過程については、そのうち語る機会が訪れるだろう。

さて、その時間は訪れた。議長席に国連議長が立ち、議会が開始された。そのあと、ながながとした挨拶があり、話は本題に入る。

 フィニス「…さて、皆さまご存じの通りですが、日本時空省から世界各地の時空省にかけて起こった今回の事件についてです。」

彼の語気が強くなり始める。この会議では、世界各国のメディアも取材に来ており、高機能カメラが彼の顔へ向け一斉に振り向く。

 フィニス「この事件について調べた結果、驚愕すべきことがわかりました。もしかしたら、あの悲劇が繰り返されるやもしれません。犯人は、異世界の人物である時空間犯罪者であること、そして、その犯罪者は徒党を組んでいることが先日分かりましたが、どうやら、驚愕すべきことが明らかになりました。その規模です。恐らく、時空大戦以来の規模であるということなのです!」