全時空省会議 その2 2

 元就「しかし、もう時間か。急ごう。今日は忙しくなりそうだ。」

元就は急ぎ足で会議室へ向かい、あっという間に会議室に到着した。いつの間についたのか、全く記憶にない。議会場は、すでに7割近くの議席が埋まっている。元就は、世界最大級の会議室で、この時間にこれだけの人が埋まっていることに驚嘆した。

 元就「いやあ、これだけの人たちでもうこんなに埋まっているなんて驚きだなぁ。しかも、この時代に呼び出された歴史上の人物や英雄たちも続々と集まってきている。そのような中で、元就が自分の席に座ろうとした瞬間、凛々しい雰囲気がする少女の声がふと聞こえてきた

 ?「申し訳ない。そこのご老人、そこの席の隣が私の席なので少しそこをどいてはくれまいか?」

元就は声のほうを振り返ると、一見粗野な雰囲気を漂わせているが、非常に気品あふれる少女がその場に立っていた。

 元就「あ、ああ。ごめんごめん。…そうだったね、確かに、【アタランテ】君の席はここだね。」

 ?「…これは、私の名前を知っておいでなのですか。」

アタランテと名乗ったその少女は、少し驚きの表情を見せた。どうやら、ギリシャ神話に登場する高名な狩人でも、この老人が何者であるかはすぐに見抜けなかったようだ。

 元就「勿論。最近ギリシャ神話にはまっていてね!もちろん、アルゴウタナイに関する話も読んだよ!」

元就は、まるで何事にも興味を示す少年のような顔で彼女を見つめていた。その顔に、アタランテは何故かクスッと笑顔を見せる。

 アタランテ「ふふ、どうやら、話に聞いていた通り、まるで子供のような人だ。」

 元就「ああ、ごめんごめん。良く言われるんだ。自分の興味はあるものに対しては思わずこんな顔になってしまって。いやまぁ恥ずかしい限りだ。」

照れながら心のうちを話す元就に、アタランテはとんでもないというリアクションをとる。

 アタランテ「いや、先の言葉は私からの最高級の賛辞だ。気になさらなくて構わない。なにせ、私は子供が好きだ。あなたのようなご高齢の方で、こんな人を見たことが無かったので…。」

彼女は一礼すると、そのまま元就の隣の席に座る。不思議と、アタランテは快い気持ちになった。