全時空省会議 その2  4

彼の発言に、会場がどよめく。あの大戦以来の事件が起こるかもしれないという話は会場に衝撃をもたらした。

 元就「やはり、そんなことになるんじゃあないかなとは思っていたけど、これは思った以上になるかもしれないね。」

元就公は、手元にある電子パネルに表示された資料に目を通す。一部は、自分が日本時空省から持ち出した資料も含まれている。

アタランテも同じように資料を見ていたところ、横から声が聞こえてくる。なんだか情けない感じの声だ。声の主は、【君主論】で有名なマキャベリである。こけた頬が苦労ばっかりしていた人生を露わしているかのようだ。

 マキャベリ「はぁ…。これまた大変ですね…。これが本当だとしたらもうやってられませんよ…。」

そんな彼を、アタランテを挟んで元就公が声をかける。

 元就「おや、あなたはマキャベリ殿ではありませんか?」

 マキャベリ「ん?…おお、これは元就どのではありませんか!いやぁ、ご無沙汰です。話は聞きましたが、よくぞご無事でいらっしゃいました。…しかし、山本殿がこんなことになってしまわれるとは、残念です。」

マキャベリズムの語源になった人物とは思えないような見た目をした彼がそういった発言をすると、特に残念そうに聞こえる。

 元就「いやいや、そんなことは無いよ。私が異世界でルガールと戦ったことに関してそういうことを言ったのかな?でも、不幸なことだけじゃあない。朗報もある。」

 アタランテ「ん?朗報?」

間に挟まれながら、どうやら話をわずかに聞いていたアタランテが反応する。

 元就「ん?話を聞いていたみたいだね。そう、朗報。…もうすぐその情報がでるとは思うんだけど、…もう少し時間がかかるかもしれないね。」

会議場がざわめくなか、議長である国連事務総長が、静粛になるよう議会に呼びかける。そして、会議は本題に入ることとなる。