全時空省会議 その2  5

 フィニス議長「さて、ここで皆さまに提案があります!それは、【非常時空宣言】をこの場で採択しようということです。」

その言葉を受け、大会議室には喧噪が響きわたる。それもその筈、この宣言が出されるのは実に数十年ぶりのことなのだ。しかも、前回その宣言が採択されたのがその第一次時空大戦の時だったのだ。

さて、そもそも第一次時空大戦とは一体どういった出来事だったのかということを簡潔に説明しておく必要がある。それは、数十年前の話である。山本誠一や、辻谷広行が生まれるはるか前のこと。この世界では、当時様々な時空を探索することが流行りとなっていた。その速度、この会議が行われている2499年基準で換算した場合、一年あたり5倍である。そのため、場合によってはこちらに害をもたらしかねない異世界も当然あるわけである。

だが、当時時空省は対してそのことに対してはそこまで問題にしておらず、半ば完全に無視している状態だった。それが後に、大問題を引き起こすことになる。それは、いわばパンドラの箱を開けてしまったようなものだった。時空省は、あくまでごく一部の世界を除いて表向きには自分たちの存在を現さないようにしていたのだが、異世界の一部の者たちがその存在に気づいてしまい、更にその一部の者たちがこちらの世界に侵略を開始し始めたのであった。

敵の総大将は、人の外見をして人ならざる存在であり、時空を超えた数多の者たちと瞬時に同盟を結び、電光石火の如く進軍してきた。しかし、時空省側に有効なものも非常に多くいたのが幸いであり、そのおかげで無事に勝利することはできた。しかし、代償はとてつもなく多く、双方に多大な被害が出ることとなった。なお、この戦争には未だに謎がおおく、特に、敵側は何故こちらの世界に敵対心を抱いたのかという点においては謎ばかりである。その上、当時時空省は敵のことを単なる侵略者扱いとしていたが、それは全く違うのではないかという話もある。しかし、そのことはこの時代の人々にとっては誰にもわからないのだ。それは、この時代に召喚されている歴史上の偉人たちもだ。何故なら、今のメンバーは当時のメンバーから完全に【入れ替わった】からだ。 

それに関しては、理由はよくわかっていない。それまでは、50年おきに多くても半分しか変わらない偉人たちであったが、この事件を境に、全て入れ替わってしまったのだ。